能登半島 揺れ周期の違いが建物の被害割合に影響か 専門家分析

今月1日の大地震では震度7の揺れを観測した石川県志賀町と比べて、6強の七尾市や輪島市、穴水町などの建物の被害が非常に多くなっています。専門家は揺れの周期の違いが被害の割合に影響していた可能性があるとして、地域の地盤の特性に合わせた耐震対策が必要だと指摘しています。

今月1日に発生した石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震では▽志賀町で震度7、▽七尾市と輪島市、珠洲市、それに穴水町で震度6強の激しい揺れを観測しました。

能登地方では建物の被害が相次ぎ、石川県によりますと12日午後2時時点で▽穴水町で全壊や半壊、または一部破損が1000棟、▽七尾市で全壊が225棟、輪島市と珠洲市では全体状況が把握できていません。

地震防災工学が専門の京都大学防災研究所境有紀教授は地震計のデータを分析し、観測点の周辺で現地調査を行って被害との関係を分析しました。

その結果、輪島市河井町にある地震計では木造住宅などの被害が発生しやすい周期が1秒から2秒ほどの揺れが観測され、調査した168棟の木造家屋のうち3割余りにのぼる53棟が全壊していました。

ほぼ同じ周期の揺れが観測された穴水町大町でも114棟のうち2割余り(26棟)が全壊していました。

一方、震度7の揺れを観測した志賀町の地震計では揺れの周期は0.2秒ほどと短く、調査した範囲では、短い周期の揺れに特徴的な屋根瓦のずれや窓ガラスの破損がみられたものの全壊した家屋は確認されませんでした。

境教授は揺れの周期の違いが被害の割合に影響していた可能性があるとしたうえで「穴水町では倒壊した古い木造家屋の隣で築年数が浅いとみられる住宅がほとんど損傷なく建っていたのが印象的だった。この地域は兵庫県南部地震に匹敵する揺れを観測していたが、現代の耐震技術をもってすればこのクラスの地震にも耐えられる可能性がある」と指摘していました。