【12日詳細】軍事作戦続けるイスラエル ICJで正当性を主張

イスラエル軍は12日もパレスチナのガザ地区でイスラム組織ハマスへの軍事作戦を続けています。

こうした中、ICJ=国際司法裁判所では軍事作戦の停止などを求める訴訟の審理が2日目に入り、イスラエル側は作戦の正当性を主張しています。

イスラエル軍が攻撃続ける

イスラエル軍は12日、中部マガジでハマスの戦闘員およそ20人を殺害したほか、南部ハンユニスではハマスの軍事拠点を空爆し、去年10月のイスラエルへの襲撃に加わった戦闘員など7人を殺害したと発表しました。

一方、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、南部ラファの住宅がイスラエル軍に空爆され、赤ちゃんを含む複数の子どもなど9人が亡くなったと伝えています。

ガザ地区の保健当局は11日、イスラエル軍の攻撃によって過去24時間で112人が死亡し、これまでの死者は2万3469人に上るとしています。

ICJ審理2日目 イスラエル “自衛のための戦い”

こうした中、オランダ・ハーグの国際司法裁判所では、イスラエル軍の攻撃がパレスチナ人に対するジェノサイド、集団殺害にあたるとして南アフリカが提訴している訴訟の審理が2日目に入り、イスラエル側は軍事作戦はハマスから国を守る自衛のための戦いだとして、正当性を主張しています。

審理では、南アフリカが裁判所に暫定的な措置として、イスラエルに対し軍事作戦の即時停止などを命じるよう求めていて、一部のメディアはこれについて、1月中にも判断が示される見通しだと伝えています。

米英軍 フーシ派の拠点を攻撃

アメリカ政府は11日、アメリカ軍とイギリス軍がイエメンの反政府勢力フーシ派の拠点に対し攻撃を行ったと発表しました。

紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返すフーシ派への報復措置だとしています。

ハマス 米英を非難「露骨な侵略」

イスラム組織ハマスは12日、声明を出し「アメリカとイギリスによるイエメンへの爆撃を、最も強いことばで非難する。イエメンの主権に対する露骨な侵略で、地域の安全保障への脅威だと受け止めている。イスラエルの影響のもとで行われたこのテロ行為は、地域の怒りと緊張を高めるだけで、アメリカとイギリスはその責任を負うことになる」として、フーシ派との連帯を強調しました。

その上で、「イスラエルがパレスチナとアラブの土地に対する占領を終わらせ、アメリカとイギリスが国家の主権とアラブの人々の利益を尊重しない植民地政策を見直さないかぎり、この地域に安全と安定がもたらされることはないと断言する」として、全面的な対決姿勢を改めて打ち出しました。

フーシ派報道官 “イスラエルに攻撃続ける”

アメリカ軍とイギリス軍による攻撃を受け、フーシ派のアベド・トール報道官が12日、NHKのオンラインインタビューに応じ、「イエメンに対するアメリカの攻撃は愚かな行いで、地域の緊張感を高めるだけだ」と非難しました。

そのうえで「われわれは攻撃から10分以内にアメリカの戦艦に対して弾道ミサイルや無人機での攻撃を行った。今後さらに厳しい軍事的報復を行う」と明らかにし、対抗する姿勢を強調しました。

また「われわれの立場は変わらない。イスラエルなどへの攻撃は今後も続く」として、ガザ地区への攻撃が終わらないかぎり、今後もイスラエルやアメリカへの攻撃を続けると主張しました。

一方で、去年11月からフーシ派がだ捕している日本企業が運航していた貨物船やその乗組員の解放については、「アメリカの攻撃で状況は複雑化した。解放のための条件はさらに厳しくなるだろう」として、解放の見通しは立っていないと述べました。

アメリカ軍などの攻撃でフーシ派が対抗姿勢をさらに鮮明にしたことで、世界的な海上輸送への影響に加え、戦闘が中東地域でさらに拡大することも懸念されます。

フーシ派とは

フーシ派は、イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力で、2015年以降、首都サヌアを武力で掌握しています。

イランの協力によって巡航ミサイルや弾道ミサイル、それに無人機など、軍備を増強してきたとされ、近年、海上での活動も活発化させていると指摘されています。

イエメンの内戦では、敵対する政権側を支援するサウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などに対し、ミサイルや無人機で石油施設や軍の基地を攻撃してきました。

去年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスの一連の衝突が始まってからは、ハマスとの連帯を掲げ、イスラエルに向けてミサイル攻撃などを行うとともに、紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返しています。