石川 輪島 76歳女性 車中泊した翌日に死亡「震災がなければ」

1月1日の地震で自宅で被災した石川県輪島市の76歳の女性が、家族と車中泊をした翌日の2日に胸の痛みを訴えて病院に搬送され、亡くなっていたことが分かりました。NHKの取材に対し、女性の息子は、「震災がなければ大丈夫だっただろう。守ってあげられなかったのが心残りです」と語りました。

輪島市山本町の池端幸子さん(76)は、1月1日、同居する息子の忍さん(46)など家族7人で自宅にいたときに被災しました。

忍さんによりますと、家族の誰もけがはなかったものの、家の中は危険と判断し、全員で1台の車の中に避難して寝泊まりするいわゆる「車中泊」をしたということです。

翌日、2日の早朝、幸子さんはふだんと変わらない様子で近所の人と話していましたが、午前8時ごろになって胸の痛みを訴え、顔色が悪くなってきたということです。

119番に電話をしましたが、救急車の到着まで時間がかかるため、忍さんが車を運転して市内の病院に連れて行ったということで、病院に着いたとき、幸子さんは意識があり、かろうじて受け答えもできる状態でしたが、その後、容体が急変して亡くなったということです。

忍さんによりますと、幸子さんには高血圧の持病があり病院からは「死因は大動脈解離」だと説明を受けたということです。

今回の能登半島地震で石川県は、12日午後2時の時点で死亡が確認された人のうち14人について、避難生活で体調が悪化するなどして亡くなった「災害関連死」の疑いがあると発表していますが、幸子さんが含まれているかどうかはわかっていません。

忍さんは、「胸が痛いと言うので自分がさすってあげたり、声をかけたりしながら病院に向かいましたが、間に合いませんでした」と当時の状況を語りました。

そのうえで「車中泊などでストレスはあったと思いますが、震災がなければ大丈夫だっただろうと家族で話していました。守ってあげられなかったのが心残りで、母親に『ごめんな』という気持ちです」と話していました。