日本赤十字社 避難所の状況 “災害関連死 増加避けられない”

石川県の避難所で救護活動に当たっている日本赤十字社の救護班が避難所の感染症の状況や救護の課題について報告し、発熱患者が増加するなど災害関連死の増加が避けられない状況だと訴えました。

1月1日の地震を受けて、日本赤十字社は県内各地の避難所でおよそ200人体制で救護活動に当たっていて、12日午後、金沢市にある石川県支部で現地の活動について報告しました。

この中で、救護活動を指揮している災害医療コーディネーターの稲田眞治 医師は、避難所では発熱患者が、11日は10日より1割増えるなど増加傾向で、感染症の感染拡大が課題になっていると説明しました。

そのうえで、避難所の中で隔離したり肺炎にならないか注視したりするなどの対策を行っているということですが、このままだと災害関連死の増加が避けられない状況だと危機感を示しました。

また、道路状況や断水の影響で、いまだに救護が十分に行えない地域があることや、被災者の精神的なケアが必要になっていること、本来は施設などで介護が必要な人に避難所では十分な対応がとれていないことなども報告されました。

稲田医師は「災害関連死を防ぐためにも、避難所内での感染症の拡大をどうにか止められるようにしたい」と話していました。

日本赤十字社では今後、救護班の増員を検討するほか、13日以降、珠洲市の「道の駅すずなり」に臨時の救護所を設置するなど救護の態勢を強化することにしています。

志賀町の避難所 新型コロナなど感染症患者が増加

今回の地震で震度7を観測した石川県志賀町の避難所では、新型コロナなどの感染症の患者が増えています。

町では感染の拡大を防ぐため、断水などで営業できなくなった町内の宿泊施設に感染症の患者を集める対応を始めました。

志賀町では町内14か所の避難所におよそ800人が身を寄せていますが、新型コロナやインフルエンザなどの感染症の患者が増えています。

町で唯一の病院は地震で建物が大きく壊れ、患者を受け入れることができないため、町では避難所の1つで一般の避難者とは部屋を分けて患者の対応にあたってきました。

しかし、患者が増え続けているため、町は、感染拡大を防ごうと、10日から断水などで営業できなくなった町内の宿泊施設に患者を集める対応を始めました。

宿泊施設には看護師2人が常駐し、24時間体制でケアにあたっていて、12日は熊本県から支援に来た医師などのアドバイスを受けていました。

宿泊施設には26の部屋があり、このうち13部屋の18人がこれまでに避難所から移ってきたということです。

患者の対応に当たっている看護師の田中聖美さんは「避難所では感染者が増えていて、この宿泊施設も満員になる懸念もあります。日々問題が起こり、解決策をみんなで考えている状況です。病院の修理なども含めていち早く復旧に向かってほしい」と話していました。