避難所で感染症拡大 「市立輪島病院」1週間以内に満床のおそれ

石川県輪島市では、避難所で新型コロナなどの感染症が広がりつつあり、病院の関係者は患者が増え続ければ、対応しきれなくなると懸念しています。

輪島市山岸町の「市立輪島病院」は、地震直後はけが人の対応を優先していましたが、今は感染症の患者を中心に診療にあたっています。

病院を訪れた患者のうち、発熱などの症状を訴えた人は、10日は15人ほどでしたが、11日はおよそ70人にまで増えていて、新型コロナやノロウイルス、それにインフルエンザの患者が多いということです。

また、12日の時点で入院患者はおよそ40人いて、その半数が感染症の患者だということです。

この病院では入院患者用の病床は100床余りありますが、最近は一日に10人程度のペースで入院患者が増えているということで、このままでは1週間以内に満床になるおそれがあるということです。

市立輪島病院の河崎国幸事務部長は「病院の職員も被災していて、対応にも限界がある。避難所で感染症の予防対策を徹底してほしい」と話していました。

珠洲の避難所「災害支援ナース」人手不足

長引く避難生活で被災者の健康管理が課題となる中、石川県珠洲市の避難所では、全国から被災地に入って活動する看護師「災害支援ナース」が対応にあたっていますが、人手が足りず、態勢の整備が課題になっています。

石川県珠洲市では、今月5日から「災害支援ナース」が正院小学校の避難所に常駐し、健康管理や衛生管理、心のケアなどにあたっています。

ここ数日は体調不良や不眠などを訴える被災者が増えているということで、看護師たちは12日も避難所で一人一人に声をかけ、薬が足りているかや体調の変化がないかなどを確認していました。

現場の看護師たちは避難所だけでなく、自宅にいる被災者の巡回も行っているということですが、ニーズを踏まえれば人手は全く足りていないということです。

日本看護協会などによりますと、能登地方の被災地では11日の時点でおよそ90人の「災害支援ナース」が活動していますが、ほとんどは病院に派遣され、避難所で対応にあたるのは10人程度しかおらず、態勢の整備が課題だということです。

災害支援ナースの1人、登谷美知子さんは「被災者は精神的な疲労もたまり、免疫の低下が見られるなど厳しい状況です。災害関連死を防ぐためにも避難所での専門の看護師のサポートが重要ですが、足りていません。長期的な支援に向けた態勢づくりが必要です」と話していました。