【解説動画】長引く避難 体力衰え防ぐには?効果的な運動は?

避難所などでの生活が長引くと体を動かす時間が少なくなり、懸念されるのが体力の低下です。特に高齢者を中心に注意が必要なのが、体力や認知機能が衰えて介護が必要な手前の状態、「フレイル」です。避難生活の中で健康を保つヒントを東京大学高齢社会総合研究機構の機構長、飯島勝矢さんに聞きました。

12日の正午ニュースで放送しました。

【動画:5分41秒】
(データ放送ではご覧になれません)

●20秒~ 避難生活で心配される症状は

フレイルはいわゆる年齢を重ねるとともに体力や筋力が衰えた状態ということなんですが、ベースは筋肉の衰えなんです。

例えば、高齢で自立されている方やお元気な方でも、2週間ぐらい寝たきりのような生活をしてしまうと、元気に活発にされている方が5年から7年ぐらいかけてゆっくり失う筋肉をいとも簡単にこの期間で失ってしまうと言われているんです。

なので、いかに不活発にしないか、十分な運動とまではいかないにしても、“ちょこちょこと動き回るか”ということがポイントになります。

●1分35秒~ どんな運動をすればいい?

まず、ちょっとした「ウォーキング」のようなものと「筋トレ」のようなもの、この2種類を意識していただきたいです。

筋トレは椅子とか座れるようなところがあれば大丈夫です。

<1 ゆっくりスクワット>
高齢の方は手すりを持ちながらゆっくりスクワットをすることです。
“ゆっくり時間をかけてやる”ことがとても重要です。

<2 立ち上がり運動>
スクワットができないという人は、いすに少し浅めに座り、立ち上がる際に5cmから10cmぐらいお尻が浮いた状態でおよそ10秒ほど止まった状態を保ってください。
少しつらいと思いますが、最後はリラックスして、落ち着いたらまた10秒。
これをできれば朝と夜に3、4回ずつ、日々の日課に組み込んでほしいということです。

<3 ひじとひざのクロス>
もう1つは左のひざと右のひじ、これをそれぞれクロスして、トントントンとタッチする動き。
おなか周りから全体的に鍛えることができます。

●3分50秒~ 車内での生活で気をつけることは?

車の中では活動しにくいため、足に出来た血栓が肺に到達して血管を詰まらせてしまうエコノミークラス症候群に特に注意が必要です。

予防するにはとにかく水分を取り、足先やふくらはぎをしっかり動かすことだということです。

しっかり足先を上に上げたり曲げたり伸ばしたりを何度もやってほしいとしています。

飯島さんによるとこの運動は寝ながらでも大丈夫だということです。

●4分35秒~ 長引く避難生活の中で予防を続けるためには?

飯島さんは被災された人たちは心もすべて疲れ切っているのではないかとしていて、そういう時に奮い立たせて頑張るためには、まず、みんなでワイワイやろうという雰囲気が必要だといいます。

避難所の責任者やボランティアなど、みんなで声をかけ合って、ちょっと腰の重たい人にも「一緒にやろうよ」と声をかけてやっていくということが必要だと指摘しています。

飯島さんは筋肉を維持するためには運動だけでなく十分な睡眠や水分、そして栄養も必要になるとして、「しっかりと安心して眠ることができる生活を送ってもらえるようになってほしい」と話しています。