USスチール買収計画発表の日本製鉄 社長交代へ

日本製鉄は、ことし4月に社長を交代する人事を発表し、橋本英二社長が会長に、今井正副社長が社長に昇格します。会社は12月に、アメリカの大手鉄鋼メーカーの買収計画を発表し、新たな経営体制で日米の鉄鋼業界の再編を目指すことになります。

発表によりますと、日本製鉄は12日に取締役会を開き、ことし4月1日付けで、橋本英二社長がCEOを兼ねる会長に就任し、今井正副社長が社長に昇格する人事を決めました。

橋本氏は社長在任中、広島県呉市にある製鉄所の閉鎖など、国内の生産体制の合理化を進める一方、12月には、およそ2兆円を投じてアメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールを買収する計画を発表しました。

橋本氏の後任となる今井氏は60歳。

2023年に副社長に就任し、鉄鋼の生産技術などの脱炭素化のプロジェクトを主導してきました。

USスチールの買収をめぐっては、アメリカの鉄鋼業界の労働組合、USWが批判する声明を出すなど反発の動きもあり、関係当局の承認に向けた手続きが、今後の焦点となります。

日本製鉄は、新たな経営体制のもとで、買収計画による日米の鉄鋼業界の再編を目指すとともに、業界全体の課題となる脱炭素化に向けた取り組みを加速させることにしています。

橋本社長「買収で米側のマイナス考えつかない」

新たに社長に就任する今井正副社長は記者会見で「脱炭素は気候変動対策のためだが、日本ではまさに国策として産業界のためにやる話でもあり、電炉の拡大などに向けた投資をできるだけ早いタイミングで判断したい。自分自身が必ずやらなくてはいけない使命感がある」と抱負を述べました。

また、会長に就任する橋本英二社長は「脱炭素に向けて本格的に取り組まなければならず、この数年が勝負だ。USスチールの買収など大きな意思決定の実行に入っていくので、私自身も経営責任を引き継いでいく」と述べました。

そのうえで、USスチールの買収計画をめぐる労働組合の反発については「われわれがアメリカに対して巨額の投資をするわけで、お金も持っていくし、技術も出していく。労働組合との協約は100%守ると明言しているので、この買収によるアメリカ側のマイナスは私は考えつかない」と述べました。