“人々の権利が脅かされた1年” 国際的人権団体が報告書

国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は11日、ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、世界100以上の国と地域の人権状況をまとめた報告書を発表しました。

この中で、去年の世界の人権状況について「人権の抑圧や紛争地の残虐行為などで、人々の権利が脅かされた恐ろしい1年だった」としました。

このうち、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突については、去年10月7日のハマスによるテロ攻撃と人質の拘束は戦争犯罪だと指摘した一方、その後、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区を封鎖して水や電気などを遮断したことや、ガザ地区北部の住民に退避を強制したことなども戦争犯罪にあたると指摘しました。

そのうえで「多くの国がハマスを非難したが、イスラエルの重大な人権侵害を非難した国ははるかに少なかった」と分析しました。

さらに「中国政府による新疆ウイグル自治区での人道に対する罪にも多くの国が沈黙している」と指摘し、各国の首脳が政治や外交を理由に人権保護で揺るぎない立場をとらなかったことで、結果として人命が犠牲になっていると非難しました。

会見で「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のハッサン代表は「人権保護という普遍的な原則がどこかの国で見過ごされるたびに、誰かが代償を払うことになる」と述べ、各国政府に対して人権を守る義務を果たすよう訴えました。