イラン軍が石油タンカー拿捕 「米の原油差し押さえに報復」

イラン軍は去年アメリカ政府に原油を差し押さえられたことへの報復として、オマーン湾を航行中の石油タンカーを拿捕(だほ)しました。
両国の対立が深まるとともに、中東地域の海運がいっそう不安定化することが懸念されます。

イランの国営通信によりますと、イラン海軍は11日、オマーン湾を航行していた石油タンカー「セント・ニコラス」を拿捕し、イランの港に移動させたと発表しました。

AP通信によりますと、タンカーはマーシャル諸島船籍で、イラクで原油を積み込んだあと、製油所のあるトルコへ向かっていたということです。

このタンカーは去年、アメリカがイランに科している制裁に違反してイラン産の原油を中国に輸出しようとしていたとして、積んでいた原油をアメリカ政府に差し押さえられていました。

今回の拿捕について、イラン海軍は「このタンカーがアメリカ政府の指示に従い、イランの原油を盗んだため報復を行った」と主張していて、両国の対立がさらに深まることが予想されます。

また、中東地域の海運をめぐっては、イエメンの反政府勢力、フーシ派が紅海で船舶への攻撃を繰り返し、世界的な物流に影響が出ているだけに、いっそうの不安定化が懸念されます。

イラン軍がオマーン湾を航行中の石油タンカーを拿捕したことについて、アメリカ国務省のパテル副報道官は11日、記者会見で「国際通商の妨害を狙った行動だ。こうした挑発行動は、世界経済にとって脅威だ」と述べ、厳しく非難しました。

その上で「イラン政府は速やかに船と乗組員を解放しなければならない」と述べ、解放を強く求めました。