去年1月のTBS報道番組にBPOが意見公表 “放送倫理違反あった”

去年1月、TBSの報道番組で農協の職員が共済事業の契約をめぐって、匿名で内部告発するインタビューが放送されたあと取材を受けたことを周りから強く疑われたことについて、BPO=「放送倫理・番組向上機構」は「取材源の秘匿を貫くことができなかった」として放送倫理違反があったとする意見を公表しました。

TBSは去年1月、報道番組「news23」で、農協の職員が共済事業の契約をめぐり過大なノルマを課され、みずから掛金を負担するいわゆる「自爆営業」を行ったなどと内部告発するインタビューを報道しました。

番組では証言した3人の職員について匿名で伝えましたが、放送後、BPOに職員を知る視聴者から身元が特定できたという声が寄せられました。

放送倫理上の問題がなかったか審議してきたBPOの「放送倫理検証委員会」は11日意見を公表し、3人の顔にはぼかしがかけられ声が変えられていたものの、服装や体型などはそのまま放送されたことなどに触れたうえで、「放送局が果たすべき内部告発者への配慮が決定的に不足していたうえ、ディレクターらは職員から『使わないでほしい』と直接依頼されたことを忘れており、映像を放送してしまうという重大な失策を犯している」などと指摘しました。

そのうえで、「秘匿すべき内部告発者の周辺でその身元特定が強く疑われる状況を招き、取材源の秘匿を貫くことができなかった」として放送倫理違反があったと結論づけました。

TBSは「指摘を真摯(しんし)に受け止めます。報道機関としての基本原則を再確認し、再発防止策を着実に実行して信頼回復に努めます」とコメントしています。