日銀 景気判断 2地域↑1地域↓「北陸」据え置きも地震影響注視

日銀は3か月に1度の「地域経済報告」を公表し、全国9つの地域のうち、「九州・沖縄」と「東海」の2地域の景気判断を引き上げる一方、「近畿」は引き下げました。「北陸」については判断を据え置きましたが、「能登半島地震による影響を注視する必要がある」としています。

日銀は11日、植田総裁と全国32の支店長らが出席する支店長会議を開き、地域経済の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち、2地域で前回、3か月前の判断を引き上げ、「九州・沖縄」は「着実に回復している」「東海」は「緩やかに回復している」としました。

一方、「近畿」は「持ち直しのペースが鈍化している」に引き下げました。

そのほかの6地域は、判断を据え置きましたが、石川、富山、福井の3県の「北陸」については「今後、地震の影響を注視する必要がある」としています。

日銀によりますと、今回の判断に地震の影響は反映できていないということです。

11日の会議では春闘を前に、地方でも去年より早いタイミングで賃上げの機運が醸成されつつあるものの、中小企業を中心にその広がりや水準は不確実性が高いという報告があったということです。

日銀は金融政策の転換を見極めるポイントの1つとして賃上げの動向を挙げていて、今後、各地域でどのような形で賃上げが進むのかが注目されます。

日銀金沢支店長「産業に与える影響をしっかり調査」

日銀金沢支店の吉濱久悦支店長は支店長会議に出席したあと、記者会見しました。

この中で吉濱支店長は「現時点で人命救出をはじめ災害対応が行われていて経済影響に言及できる段階ではない。今後、被害が広範囲に及んでいることも鑑み、管内の経済・金融に与える影響を注視していく必要がある」と述べました。

また、日銀としては、被災地での現金供給や資金決済などで金融機関が適切にサービスを提供できるよう必要な支援を続けているとして、関係機関と連携して金融機能の維持に取り組む考えを示しました。

その上で、吉濱支店長は「能登半島の先端の地域の製造品出荷額のウエイトは大きくないが、重要な製品を作っている工場もある。また、輪島には伝統的な産業である輪島塗があり、細かく分業して作られているので、ボリューム面だけではなく産業に与える影響をしっかり調査していきたい」と述べ、地域の産業の実態把握に努める考えを示しました。