孤立状態 依然2500人余 孤立解消した集落も“状況変わらず”

石川県によりますと、11日午後2時の時点で、輪島市、珠洲市、能登町の少なくとも22地区の2500人余りが、道路が通れなくなるなどして依然、孤立状態になっているということです。

【動画】孤立状態の集落の状況は

孤立状態となっている石川県輪島市の七浦地区です。この地区に住む東栄一さん(73)は、現状を知ってもらいたいと携帯電話で動画の撮影を続けています。

NHKに寄せられた動画には、落下した屋根の瓦が道路に散らばっていたり、傾いた住宅の中に、家具が散乱したりしているなど地震の被害が手つかずで残されている様子が映されています。

食事は、自衛隊が届けたパンやカップめんで、集会場に避難している被災者たちが集まって食事をしている様子もあります。

地区では停電や断水が続いていて、洗濯機も使えず、動画には4日ぶりに手洗いで洗濯した衣類を干す様子も映っています。

東さんは「手で絞るため、なかなか乾きません」と話していました。

地区では、公民館にある自家発電機を使って携帯電話の充電などを行っているということです。

一方、東さんによりますと、11日、地区に住む複数の高齢者が体調を崩したということで、駆けつけた救急車がサイレンを鳴らしながら向かう映像もありました。地区に向かう道路はひび割れなどで一般の車両の通行は難しくなっていて、自衛隊の車両や緊急車両が、出入りしている状況だということです。

東さんは「日が経つにつれ、ストレスはたまってきていて、私の知人もきょう体調を崩してしまったようです。現状を多くの人に知ってもらい、少しでも地区の役に立てればと思っています」と話していました。

2500人余が孤立状態

孤立状態になっている地区です。

▽輪島市
▼大屋地区の149人、▼河原田地区の25人、▼鵠巣地区の320人、▼町野地区の2人、▼南志見地区の222人、▼西保地区の754人、▼仁岸地区の7人、▼小山地区の26人、▼諸岡地区の61人、▼上河内地区の7人、▼小石地区の8人、▼本郷地区の3人、▼浦上地区の303人、▼七浦地区の351人など。

▽珠洲市
▼真浦町の4人、▼清水町の8人、▼仁江町の3人、▼片岩町の37人、▼長橋町の50人、▼大谷町の209人。

▽能登町
▼水滝地区の5人、▼柳田信部地区の8人。

孤立状態になっているのは県内で少なくとも22地区、2562人にのぼります。

このほか、孤立状態は解消されたものの、道路の状態などが不安定だとして引き続き支援が必要な「要支援集落」が多くあるということです。

“孤立”リスト外れても 「状況変わらず」

画像は被災前のものです

珠洲市高屋町は今月7日以降、石川県が発表している「孤立集落」のリストから外れました。

しかし、高屋町の出身でいまも親戚や友人が住んでいるという男性が電話で地域の人と連絡をとったところ、この地域にある3方向のうち2方向の道路は崖崩れで寸断された状況で、山側を通る1方向の道路のみ自衛隊の車両が通れるようになりましたが、今も一般の車両の通行は難しく、「状況は変わっていない」と話しているということです。

町内は自衛隊によって物資は少しずつ届くようになったものの今も断水や停電が続く中、80人ほどの住民が残っているということです。

電波環境も悪く、連絡が取りづらい状況が続いているということです。

輪島市町野町 曽々木地区では

地震発生から4日間、孤立状態となっていた輪島市町野町の曽々木地区の刀祢聡(67)自治会長は、停電や断水が続く中で、住民が持ち寄ったストーブで暖をとるなどして助け合いながらしのいでいたと、当時の状況を語りました。

輪島市町野町の曽々木地区では、今月1日の地震により、周辺の道路が寸断されて孤立状態となりました。

地区の人口はおよそ120人で、6~7割ほどが65歳以上の高齢者だということです。

地震のあと、ほぼ全員が避難所となっている市の施設に避難しましたが、電気や水道は使えず、それぞれの家庭から持ち寄ったストーブで暖をとったほか、近くの山の湧き水からバケツで水をくんで生活用水にするなどしてしのいでいたということです。

今月4日に自衛隊の支援物資が届き、5日には道路も通れるようになって孤立状態は解消されました。

しかし、避難所には自宅が倒壊するなどして今も50人余りが身を寄せていて、水洗トイレを利用できず、風呂にも入れないため、衛生状態の悪化が懸念されています。

「落ち着いて寝て、食べて、安らげる場所を」

自治会長の刀祢聡さんに11日、話を聞きました。

▼孤立していた当時の状況については

「地区に入る道は3本あって、全く閉ざされていたんですよ。当初は電波もなくて情報が来ないもんですから、実際に車で運転してどこまで行けるか、そういうことも試したんですよ。何回も」

▼その後の避難状況については

「息子さんやお孫さんがいる金沢あたりに行った方がいて、現在避難所にいるのは55名ぐらいです。いまだに電気も水道も来ていません。一番困るのはトイレで、水洗が思うように使えない。タンクに水を入れて流すので、しょっちゅう水がいるんですね。だから交代で山からくんでいます。電気と水道がきたら気分的にも楽になると思うんです」

「当初、必要なものは食料でしたが、現在は物資が入ってきたので、それよりもお風呂に入りたいという方が増えてきてます。お風呂は10日ぐらい入ってないので、早く仮設の風呂が来てくれればなと思います。今はせいぜいぬれティッシュで体をふく程度です」

「地域は高齢化が進んでいて70代、80代の方が多いです。トイレの介助が必要な方がいらっしゃるので、そういう面で大変なこともあるかもしれません。ただ幸いにチームワークはいいと思うんです。協力しながらものを作ったりしています」

▼今後については

「いつも通りの生活にはなかなか戻らないかもしれないですけど、安全な生活がいつになったらできるのかなというところが1番、私が思っているところですね。落ち着いて自分の布団で寝て、食事を食べられて、安らげる場所が早くくればいいなと思いますね」