能登半島地震 発生から3分で富山市に津波 「海底地すべり」か

能登半島地震では震源に近い石川県の能登地方だけでなく、震源から離れた富山市にも地震の発生からわずか3分後に津波の第1波が到達しました。専門家は地震の揺れにより富山湾で「海底地すべり」が発生し、局地的に津波が押し寄せた可能性があると指摘しています。

気象庁によりますと、今月1日の午後4時10分に発生した能登半島を震源とするマグニチュード7.6の大地震では、直後に震源近くの石川県輪島市や珠洲市などで津波が到達したとみられるほか、震源から南に離れた富山市でも地震から3分後の午後4時13分に第1波が観測されました。

津波のメカニズムに詳しい中央大学の有川太郎教授が現地調査の結果などを踏まえて津波のシミュレーションを行ったところ、震源付近で発生した津波が富山市に到達するには20分程度かかるとみられることが分かりました。

このため、富山湾で地震の強い揺れによる「海底地すべり」が発生し、局地的に津波が押し寄せた可能性があると指摘しています。

富山湾は最大で水深800メートルほどのくぼ地に向かって陸側から急激に深くなっていて、斜面の勾配が急で崩れやすいということで、2007年の能登半島地震でも富山湾で「海底地すべり」による津波が起きたと研究者から指摘されています。

有川教授は「能登地方では今も地震が続いているため、地震によって海底地すべりが発生し、津波が来る可能性があることを認識してほしい。気象庁が発表する到達予想時刻より早く津波が来ることもあるため、揺れを感じたらすぐに海岸付近から離れるようにしてほしい」と話していました。