株価 終値が3万5000円台回復 約33年11か月ぶり

11日の東京株式市場、日経平均株価はバブル期の1990年2月以来、およそ33年11か月ぶりに終値として3万5000円台を回復しました。

11日の東京市場は、10日のニューヨーク市場で主要な株価指数がそろって値上がりした流れを受けて、取り引き開始直後から半導体など幅広い銘柄に買い注文が出ました。

さらに、外国為替市場で、円相場が1ドル=145円台まで値下がりするなど円安傾向が続いていることから自動車など輸出関連の銘柄も値上がりしました。

▽日経平均株価、11日の終値は10日の終値より608円14銭高い、3万5049円86銭で、バブル期の1990年2月以来、およそ33年11か月ぶりに終値として3万5000円台を回復しました。

▽東証株価指数=トピックスは、38.39上がって2482.87となり、こちらは1990年3月以来の高値となりました。

▽1日の出来高は18億4940万株でした。

“急速なペースで値上がり”

10日のニューヨーク市場で主要な株価指数が上昇したことを受けて、半導体関連の銘柄などに買い注文が広がりました。

また、外国為替市場で円安傾向となっていることから輸出関連の銘柄も上昇。

午後には700円以上、値上がりする場面もありました。

このところ日経平均株価はバブル期以来の高値を連続して更新していて、この4営業日では1800円近く値上がりしています。

市場関係者からは「ことしは株価の上昇を見込んでいたが、予想よりも急速なペースで値上がりしている」といった声も聞かれ、この勢いがどこまで続くのかが焦点となります。

株価33年ぶり高値 なぜ?

東京株式市場ではことし最初の取り引きとなった1月4日、能登半島地震の影響への懸念から日経平均株価は一時、700円以上、値下がりしましたが、その後は急ピッチで株価が上昇し5日からの4営業日で1800円近く値上がりしました。

けん引役となっているのが半導体関連の銘柄です。

生成AIの拡大など業界への追い風が続く中、アメリカのナスダック市場では、半導体大手が量産を計画している新製品を発表したことなどから、株価指数が5日から4営業日連続で上昇。

この流れが東京市場にも波及しました。

また、地震が経済に及ぼす影響への懸念から日銀が近く金融緩和策を修正するという観測が後退する一方、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が早期に利下げに転じるのではないかという見方が弱まり、外国為替市場で円安ドル高が進んだことも要因です。

自動車や機械、電気機器など輸出関連の銘柄が値上がりし、株価全体を押し上げました。

こうした足もとの要因が重なり一気に3万5000円を超えた形ですが、去年からの株価の上昇基調の背景にあるとされるのが、堅調な企業業績と日本経済のデフレからの完全脱却への期待です。

国内の上場企業の今年度の最終利益は、円安で輸出が好調なことに加えて原材料の値上がりを商品価格に転嫁する動きが進んだことなどから、3年連続で過去最高を更新する見通しです。

「TOPIXの構成銘柄を中心にSMBC日興証券が集計」

大手企業の間では春闘を前に去年を上回る賃上げを表明する動きも相次いでいて、物価と賃金の好循環が実現するという期待から投資家が積極的な姿勢を強めているという見方が出ています。

また、1月から個人投資家を対象にした税制優遇制度、NISAが拡充されましたが、配当利回りが高い銘柄の株価の上昇が目立っているとして個人の資金の流入が株価を下支えしていると指摘する市場関係者もいます。

市場では、日経平均株価はことし、バブル期につけた史上最高値の3万8915円に迫る水準まで上昇するのではないかという期待がある一方、先行きを警戒する声も出ています。

国内の個人消費などに弱さが見られる中で、賃上げが持続しデフレから本当に脱却できるのか、1月の台湾総統選挙や11月のアメリカ大統領選挙が世界経済にどのような影響を与えるのかなども株価の行方を占う上でポイントとなりそうです。

バブル期以降の株価推移

日経平均株価は、バブル期の1989年12月に史上最高値となる3万8915円をつけました。

その後、バブルは崩壊。

金融機関が相次いで経営破綻するなどのいわゆる金融危機も起き、株価は長い低迷の時代に突入します。

リーマンショック後の2009年3月には、バブル崩壊後の最安値となる7054円98銭まで落ち込みました。

この流れが変わったのが、2012年。

当時の安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」が投資家たちの期待を高め、東京市場に、海外からの大量のマネーが集まり出します。

とくに日銀の大規模な金融緩和は総裁の名前から「黒田バズーカ」と呼ばれ、円安傾向も相まって株価を押し上げました。

景気の回復も続いたことで、2015年4月には2万円台を回復しました。

その後、新型コロナの感染拡大で株価は大きく値を下げる場面もありましたが、日銀だけでなくアメリカのFRBも金融緩和策を強化したことなどから、2021年2月にはバブル期以来となる3万円台に到達。

その後も株価の上昇基調が続き、日経平均株価は11日、3万5000円台をつけて1990年2月以来、33年11か月ぶりの高値となりました。