【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻（1月11日の動き）

ウクライナでは10日夜、ロシア軍のミサイル攻撃で東部の都市ハルキウのホテルが破壊され、宿泊客などがけがをしました。欧米では、ミサイルや無人機による攻撃を一段と強めるロシアに対し北朝鮮やイランが兵器を供与しているとして警戒が強まっています。

ウクライナの第2の都市、東部ハルキウでは10日夜、ロシア軍によるミサイル攻撃でホテルが破壊されたと地元当局が発表しました。

この攻撃で宿泊客など13人がけがをし、負傷者の中には、トルコのジャーナリストも含まれているということです。

ハルキウ州については、激戦となっているクピヤンシクの前線に9日、ウクライナのウメロフ国防相やザルジニー総司令官など軍の最高幹部が視察に入り「ロシアの占領者は成功していない」と強調し、兵士たちを激励していました。

ハルキウ州は、ロシア西部のベルゴロド州と隣接していて、このところ、この国境地帯で双方の攻防が激しくなっています。

一方、イギリスのテレビ局スカイニュースは10日、関係者の話として、これまで自爆型の無人機をロシアに供与してきたとされるイランが、攻撃能力と偵察能力がある新型の無人機を開発し、すでにロシア側に提供した可能性があると伝えました。

また、ロシアに対して弾道ミサイルも供与しようとしているとしています。

ロシアは、先月末以降、ウクライナ各地でミサイルと無人機による攻撃を一段と強化しています。

アメリカなどは、一連の攻撃では、北朝鮮から供与された弾道ミサイルも使われたと指摘していて、欧米では北朝鮮やイランからのロシアへの兵器供与について警戒が強まっています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、リトアニアを訪問してナウセーダ大統領と会談したあと、共同記者会見を行いました。

この中でゼレンスキー大統領は、リトアニアからの追加の軍事支援に加えて、両国が無人機や防衛装備品などの共同開発で協力を強化していくことで合意したと明らかにしました。

また、ウクライナに対する欧米の「支援疲れ」が指摘される中、停戦への圧力があるか聞かれたゼレンスキー大統領は「われわれのパートナーからの圧力はない」と述べて否定しました。

その上で支援の継続を訴えました。

バルト三国は、旧ソビエトに併合された歴史からロシアへの警戒感が強く、ウクライナに対し積極的に軍事支援を行っていてゼレンスキー大統領は、このあと、バルト三国のラトビアとエストニアも訪問する予定です。

一方、NATO＝北大西洋条約機構は10日、NATOウクライナ理事会を大使級で開催しました。

この中で各国は、ロシアがミサイルや無人機でウクライナの市民や民間施設への攻撃を激化させていることを強く非難したうえで、ウクライナの防空能力の強化などに向けたことしの軍事支援の計画を説明したということです。

ウクライナ情勢をめぐって10日に開かれた国連安保理の緊急会合では、去年の年末以降、ロシアによる大規模なミサイル攻撃などで市民の犠牲や民間施設の被害が広がっているとして、各国が強い懸念を示しました。

また、欧米各国や日本は、これらの攻撃では北朝鮮から供与された弾道ミサイルが使われたとしてロシアと北朝鮮を非難しこのうち山崎国連大使は「北朝鮮とロシアの間のいかなる武器移転も複数の安保理決議の明らかな違反だ」と述べました。

また、アメリカのウッド国連次席大使は「ロシア軍は、ウクライナの重要インフラを破壊し、民間人を殺害するために追加の発射を行うおそれがある」と指摘し、韓国のファン・ジュングク国連大使は「北朝鮮はウクライナを核弾頭の搭載が可能なミサイルの実験場として利用している。ウクライナでの北朝鮮のミサイルの使用は、世界の核不拡散に大きな影響を与える」と非難しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、北朝鮮の弾道ミサイルをめぐって「アメリカは間違った情報を広めている」と主張した上で「欧米各国は、支援している兵器がウクライナによってロシアの民間人を攻撃するために使われていることを知るべきだ」と反発し、ウクライナを支援する欧米側を非難しました。