輪島 地震で倒壊したビル “地下やくいに何らかの損傷か”

今月1日の大地震で倒壊した石川県輪島市のビルについて専門家が調査したところ、固い岩盤に打ち込んだくいが建物の基礎から抜けていたことが分かりました。専門家は倒壊の原因を断定できる状況ではないとしたうえで、「建物の一部が地中に埋まっていることから、地下やくいに何らかの損傷が発生し、倒壊に至った可能性がある」と指摘しています。

今回の地震では、石川県の能登半島の各地で住宅が多数、倒壊する被害が確認され、輪島市河井町では7階建てとみられるビルが倒壊しました。

耐震工学が専門の東京大学地震研究所楠浩一教授は輪島市でビルの被害について調査を行い、倒壊の原因を分析しました。

それによりますと、建物の西側には「フーチング」と呼ばれる基礎の部材が少なくとも3か所確認され、フーチングとくいをつなぐ穴が4か所から5か所ありますが、いずれもくいはなく、抜けた状態とみられるということです。

ビルの敷地には土がかぶっていて、くいは確認できず、楠教授によりますと、地中に埋まっていると考えられるということです。

一方、建物の東側では、一部が地中に埋まっているのが確認されました。

建物を所有している会社のホームページによりますと、ビルは地上7階、地下1階建てだということです。

楠教授は現時点で倒壊の原因を断定できる状況ではないとしたうえで、「建物の地下やくいに何らかの損傷が発生し、倒壊に至った可能性がある」と指摘しています。

そのうえで、周辺ではほかのビルでも傾いた建物があるほか、液状化現象も確認され、さらなる調査が必要だと指摘しています。