原子力災害対策指針 地震受け “見直し必要か検討”規制委員長

志賀原子力発電所周辺を含む能登半島の広い範囲で、建物の倒壊や道路が通れなくなる被害が相次いだことを受けて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は、原発で重大な事故が起きた際、屋内にとどまって被ばくをさけるとしている国の指針について、見直しが必要か検討する意向を示しました。

東京電力福島第一原発の事故のあと、原子力規制委員会が原発で重大な事故が起きた際の対応を定めた「原子力災害対策指針」では、原発周辺の半径5キロから30キロ圏内の住民は、無用な被ばくを避けるため、自宅や避難所などにとどまる「屋内退避」を行い、放射線量が一定の値を超えた場合に避難することとされています。

一方で、1月1日の地震では、志賀原発が立地する石川県志賀町や、隣接する輪島市など、能登半島の広い範囲で多くの住宅が倒壊したほか、道路の通行が困難になりました。

原子力規制委員会の山中伸介委員長はこうした状況について問われ、「屋内退避ができないような状況が発生したのは事実だ。その点の知見をきちんと整理したうえで、もし、災害対策指針を見直す必要があれば、見直していきたい」と述べました。

また、志賀原発の周辺で放射線量を測定するモニタリングポストの一部で、データが得られなくなっていることについては、「万が一、志賀原発で放射性物資が放出するような事故が起きた場合でも、航空機や車などを使ってモニタリングできる体制にはなっているが、従来の多重化の対策では信頼性の向上という意味で努力が足りなかったと反省している」と述べ、対策の強化を検討する考えを示しました。

一方、現在進められている志賀原発の再稼働の前提となる審査については、「今回の地震に関する断層について考慮する必要があり、新知見がまとまるまでは年単位の相当な時間がかかると見込まれていて、審査もそれ以上の時間がかかると思っている」と述べ、長期化は避けられないとする見方を示しました。