被災地で支援活動のNGO “改善の見通し立たず”現状訴え

能登半島地震の被災地で支援活動を続けているNGOが現地の状況を伝える報告会が開かれ、発災から1週間以上たっても孤立状態が続いたり、十分な支援が届かなかったりする地域や避難所が多く、改善の見通しが立っていない現状を訴えました。

報告会は国内外で被災者支援などを行う団体が加盟する「ジャパン・プラットフォーム」がオンラインで開き、石川県の珠洲市や輪島市などで活動している2つのNGOが被災地の現状を説明しました。

このうち、珠洲市を中心におよそ40人のスタッフが活動している国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の山本理夏緊急対応部長は、道路が通れず、支援が届いていない地域や避難所がいまだ多く残されているうえ、避難生活が長期化していて、避難所では体調を崩す人や感染症への懸念が広がっていることなどを報告しました。

また、珠洲市や輪島市などで支援物資の搬送や避難所の環境整備を行っている「ピースボート災害支援センター」の上島安裕事務局長は、一日1食だけで暖かい食事も提供できないところや、衛生環境の悪化により感染症が発生した避難所もあり、災害関連死のおそれが懸念される中で改善の見通しは立っていないとして、「一刻も早い環境の改善が必要だ」と訴えました。

ジャパン・プラットフォームによりますと、加盟する18の団体が被災地で支援活動を行っていて、今後も生活再建に向けて長期的に支援を続けていきたいとしています。

NGO 孤立状態の集落で避難者の診察行う

能登半島地震の被災地で支援活動を続けるNGOの医師と看護師が孤立状態となっていた石川県珠洲市の集落にヘリコプターで入り、避難している人たちの診察などを行いました。

国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の支援チームは今月2日に珠洲市に入り、安否が分からない人の捜索活動や、避難所に開設した臨時の診療所で住民の診察などを行っています。

今月6日には、道路状態が悪く孤立状態となっていた珠洲市馬緤町の集落にヘリコプターを使って医師や看護師を派遣し、当時、およそ50人が身を寄せていた避難所に生理用品などの支援物資を届けました。

馬緤町は県の発表では、現在も引き続き支援が必要な「要支援集落」となっています。

NGOによりますと、避難所には高齢者が多く、中には体調を崩している人もいて、急きょ、段ボールで机を作って仮設の診療所を設け、医師が診察をしたり、避難所での生活に関する注意点を伝えたりしたということです。

被災者からは「常備薬が足りなくなってきた」とか、「感染症が心配なのでマスクをできるだけほしい」といった声が多く寄せられたということです。

支援にあたった稲葉基高医師は「自助共助で何とか生活している状況だが、医療面の不安には専門家しか対応できないので、少しでも安心してもらえたならよかったと思う。今後、孤立や要支援の状態が解消されたとしても、生活の立て直しは長期的な課題になるだろう」と話していました。