石川 珠洲 “耐震基準見直し前の建物に倒壊など集中 注意を”

石川県珠洲市の建物被害を専門家が調査した結果、住宅が倒壊するなどの大きな被害は、耐震基準が2000年に見直される前に建てられたものに集中していることが分かりました。専門家は「今後の余震で倒壊する危険性が高まっているので、十分な注意が必要だ」と話しています。

金沢大学の村田晶助教らは地震発生から2日後の今月3日、珠洲市正院町の木造家屋が集中する地区で、住宅100棟ほどの状況を目視で調査しました。

その結果、半数程度で倒壊するなどの大きな被害が確認され、2000年に耐震基準が見直される前に建てられた建物に集中していたということです。

一方、それ以降に建てられた建物の多くは一部損壊程度の被害にとどまったとみられるということです。

2000年の基準見直しでは、耐震性の高い壁を外側にバランスよく配置したり、柱とはりの接合部などを金具で止めたりすることなどを義務づけています。

耐震基準は地震の大きな揺れに耐えられるよう、1981年に大幅に変更されましたが、1995年に発生した阪神・淡路大震災ではこの新耐震基準で建てられた建物にも被害が出たため、2000年に一部が見直されていました。

村田助教は「今回の地震は住宅にとって極めて厳しい揺れだった。過去に能登地方で発生した地震の影響で建物に何らかの形でダメージが残った状態で今回の地震が起きたので、被害が大きくなったと考えられる。今後の余震で倒壊する危険性が高まっているので、建物に近づかないようにするなど十分な注意が必要だ」と話しています。