「被災者に安心して寝泊まりできる場所を」宿泊施設が名乗り

能登半島地震で住宅が被災した人たちの避難生活が続く中、ホテルや旅館などで被災者を受け入れる動きが広がっています。

石川県 ホテルや民宿が部屋を提供

石川県では多くの住宅が被害を受けていて、輪島市や珠洲市など特に被害が大きかった地域では今も被害の実態が把握できていません。

このため、石川県内のホテルや民宿は自宅が地震で全壊するなどして住み続けることができなくなった人たちを対象に、空いている部屋を無料や低料金で提供する取り組みを行っています。

このうち、金沢市森山の簡易宿泊所は今月8日の時点で、珠洲市と七尾市から避難してきたあわせて3組を無料で受け入れているということです。

珠洲市から一家6人で避難している畑優子さん(65)は自宅が全壊したということで、「車中泊では余震も怖く、1時間ごとに目が覚めてしまうので、畳の上で布団で寝られるのはありがたいです」と話していました。

簡易宿泊施設「旅篭屋ゆいまーるEAST」の山口真吾さんは「無料で受け入れることには二の足を踏んでいる宿泊施設もあると思うので、行政からの補助があればもっと多くの施設が取り組み、支援の輪が広がるのではないか」と話していました。

こうした被災者を受け入れている宿泊施設をまとめたウェブサイトも立ち上がっています。

宿泊施設を運営する企業の「こみんぐる」が他のホテルなどの状況も含めてまとめたサイトには、1月10日時点で石川、富山、福井のあわせて58の宿泊施設が掲載されています。

被災者を受け入れる宿泊施設の数は連日、増え続けているということです。

「こみんぐる」の林俊伍さんは「避難所は狭くて寒く、プライベートもない厳しい環境なので、ゆっくりできる場所を提供したいと思いサイトを開設しました。避難所を出たいという声も増えていると聞いたので、安心して寝泊まりできる場所を見つけてほしい」と話しています。

富山県 13の宿泊施設が協力

能登半島地震で被災した人を対象に、富山県内の宿泊施設が無償で宿泊場所を提供する取り組みが始まっています。

この取り組みは富山市の医薬品メーカーで、宿泊施設の経営にも関わる企業が始めたもので、富山市や立山町などの13の宿泊施設が協力しています。

このうち、富山市のホテルJALシティ富山では1日10部屋を無償で提供し、最大3泊することができるということです。

今回の取り組みで対象となるのは能登半島地震で被災した人で、企画した企業にメールで申し込むことができます。

企業にはこれまでに、石川県の珠洲市や穴水町、それに七尾市からあわせて4組の申し込みがあったということで、被災者との調整が取れ次第、受け入れを始めることにしています。受け入れ期間は今月末までとなっています。

ホテルJALシティ富山の山崎規嗣 総支配人は「避難生活でエコノミー症候群のような健康リスクも高まるので、少しでも心の安らぎを感じてもらいたいです」と話していました。

取り組みを企画した前田薬品工業の前田大介社長は「寒くなる時期なので、暖かく安心できる状況でほっと一息ついていただきたいです」と話していました。

奈良市 8つのホテルで客室を無償提供

地震の被災地から離れた自治体の宿泊施設でも被災者の受け入れを表明しています。

このうち、奈良市は市内8つのホテルで、自宅に住めなくなった被災者を支援するため、客室を無償で提供することを決めました。

利用できる部屋数などはまだ未定ですが、被災した人が希望する日に空きがあれば、最長で1か月間利用でき、宿泊料は奈良市が負担するということです。

奈良市によると、10日時点ですでに2組が利用していて、被災者からの問い合わせも相次いでいるということです。

問い合わせは、
奈良市観光戦略課 0742-34-4739
(平日の午前8時半~午後5時15分)

それ以外の時間帯は、kankousenryaku@city.nara.lg.jpに住所、氏名、電話番号、希望する人数を書き込んでメールを送ってほしいとしています。