米中が防衛当局者間で協議 国防相会談に向け環境整備か

アメリカ国防総省は、先の米中首脳会談での合意を受け、防衛当局者間の協議を行ったと発表しました。おととし11月以降、行われていない米中国防相会談に向けた環境整備を進めるねらいもあるとみられます。

アメリカ国防総省は9日、声明を発表し、9日までの2日間、国防総省で、アメリカと中国の軍どうしの偶発的な衝突を回避するための防衛当局者間の協議を行い、アメリカ側はマイケル・チェイス国防次官補代理、中国側は宋延超中央軍事委員会国際軍事協力弁公室副主任が出席しました。

この協議の中で、チェイス次官補代理は、南シナ海で合法的に航行しているフィリピンの船舶に対し、中国が嫌がらせを繰り返していると指摘し、国際法で保障された航行の自由を尊重することの重要性を強調したとしています。

アメリカと中国は、去年11月の首脳会談で、おととし8月、当時のペロシ下院議長が台湾を訪問したあと途絶えていた防衛当局者間の対話を再開することで合意していて、今回の協議もその一つです。

米中両首脳は、おととし11月以降、行われていない米中国防相会談の再開でも合意していて、今回の協議は、会談に向けた環境整備を進めるねらいもあるとみられます。

中国国防省も協議について発表

中国国防省も10日、アメリカとの防衛当局者間の協議について発表しました。

それによりますと、中国側は、台湾をめぐって「いささかの妥協や譲歩も決してありえない。アメリカに対し『1つの中国』の原則を厳守し台湾への武器供与をやめ『台湾独立』に反対するよう求める」と強調し、アメリカ側をけん制しました。

そして「南シナ海での軍事力の展開や挑発行動を減らし、ほかの国による権益の侵害や挑発に対する支援をやめるよう促す」として、アメリカ側に南シナ海での行動を改めるよう求めました。