能登半島地震 被災の施設職員が帰宅できず勤務 厳しい状況続く

今回の地震では高齢者施設や障害者施設も被災していますが、現地で支援に当たるNPOなどの調査で、みずからも被災した施設の職員が帰宅できないまま勤務するなど、厳しい状況で支援を続けていることがわかりました。

厚生労働省によりますと、能登半島地震では、10日午前7時の時点で、石川県内で145の高齢者施設と32の障害者施設で断水や停電などの被害が確認されています。

現地で福祉施設の支援にあたる、NPOや大学の研究者などで作る「能登福祉救援ボランティアネットワーク」は、今月6日と7日の2日間、石川県輪島市や穴水町、それに七尾市で被災した12の福祉施設に支援物資を届け被災の状況などについて聞き取り調査を行いました。

その結果、回答が得られた9つの施設すべてが、職員の一部が出勤できなかったり安否の確認が取れなかったりする状態だと回答しました。

施設からは、
▽全体の1割の職員しか出勤できず、
 元日勤務の職員がそのまま出勤をつづけている
▽職員の自宅が倒壊して帰れず施設で寝泊まりしながら勤務している
▽職員の気力や体力の不安が強い
などの回答があり厳しい状況で支援を続けていることがわかりました。

また、12の施設すべてで断水が続いていて
▽排せつや口腔ケアなど衛生管理が困難だとする回答や
▽認知症で状況を理解できない利用者がいる
▽利用者が精神的に不安定で失禁が多い
などの回答がありました。

調査を行った災害福祉などが専門の佛教大学の後藤至功専任講師は「施設の職員は疲労が蓄積し気力だけで続けている状態だ。支援物資を届けると泣き出す人もいて、精神的にも追い詰められていると感じた。このままでは支援を続けることも難しくなるので、職員に休んでもらうためにも1日も早く人的な支援が求められる」と話していました。