ウクライナへの侵攻を続けるロシアの国防省は9日、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州で、ウクライナ軍がミサイルと無人機で攻撃をしかけ、これを迎撃したと発表しました。
ベルゴロド州では先月30日に、ウクライナ軍による攻撃で25人が死亡したと現地の州知事が発表していて、ウクライナ軍は最近、越境攻撃とみられる動きを強め、揺さぶりを続けています。
ロシア大統領府のペスコフ報道官も9日、「この脅威を排除するためにあらゆる努力を行う」と述べ、強い警戒感を示しました。
【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月10日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア国防省 “ウクライナ軍が攻撃しかけ 迎撃”
ロシア 夜間に子ども向けキャンプ施設を攻撃
ベルゴロド州と国境を接するウクライナ東部のハルキウ州ではロシア軍の激しい攻撃が続き、10日、ハルキウの市長は市の郊外の子ども向けのキャンプ施設でロシア側から夜間、ミサイル攻撃があり、建物が被害を受けたと発表しました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は9日、「ベルゴロド州との『緩衝地帯』を創設するため、ロシア軍がハルキウ州で大規模な軍事作戦を実施しようとする動きがでている」と指摘し、国境地帯で双方の応酬が激しくなっています。
ロシア国防相「戦略的な主導権を維持」と主張
ロシアのショイグ国防相は9日、軍司令官との会議のなかで、ウクライナ軍は去年1年間に21万5000人以上の兵士と2万8000以上の兵器を失ったとして、「ウクライナ軍の戦力を着実に減らしている」と主張しました。
そして、「前線ではわれわれが戦略的な主導権を維持している」と述べ、ロシア軍が主導権を握り、戦闘を優位に進めていると強調しました。
さらに、ショイグ国防相は「核の3本柱の戦闘準備を最高レベルに維持することが重要だ」と述べ、核兵器を搭載できるICBM=大陸間弾道ミサイル、潜水艦、そして戦略爆撃機などの核戦力を誇示し、対立する欧米諸国をけん制しました。
ウクライナ クリミアのロシア軍施設をミサイル攻撃
ウクライナ軍は最近、ロシアに併合された南部クリミアでの軍事作戦を強めていて、今月4日にはクリミアのロシア軍施設をミサイルで攻撃しています。
これについて、イギリス国防省は9日、この攻撃がクリミア上空でのロシア軍の防空能力を低下させた可能性が極めて高いと指摘しました。
また、ロシア軍が準備態勢を強化していたにもかかわらず、攻撃を受けたことは、主要な拠点を守るロシア軍の防空能力に効果がないことを改めて露呈したとしていて、ロシア軍の防空態勢がぜい弱になっていると分析しています。