ことしの日本経済 堅調に推移も成長緩やかか デフレ脱却が焦点

ことしの日本経済は、国内の消費や設備投資が堅調に推移すると見込まれています。一方、成長の伸びは緩やかにとどまるという見方も多く、経済の好循環を実現し、デフレ脱却を確かなものにできるかが焦点となります。

ことし4月からの新年度の日本経済の見通しについて、公益社団法人の「日本経済研究センター」が民間エコノミスト38人の予測をまとめたところ、物価の変動を除いた実質の成長率はプラス0.88%と見込まれています。

個人消費や設備投資が堅調に推移するものの、アメリカなど海外経済の減速を背景に輸出が伸び悩むことから、今年度を0.65ポイント下回り、緩やかな成長にとどまるという見通しです。

一方、新年度の消費者物価の生鮮食品を除いた指数は、2.20%上昇すると予想されています。

政府は、成長によって物価と賃金がともに上昇する経済の好循環を実現し、デフレから脱却することを目指しています。

ただ、このところ物価は上昇しても賃金の伸びが追いつかない状況が続いていて、日本経済には成長力の底上げと高い水準の賃上げが不可欠です。

こうした課題に対し、政府は、経済対策を着実に実行するとともに、春闘での賃上げを促し定額減税による所得の下支えにも取り組む考えで、デフレ脱却を確かなものにできるかが焦点となります。

専門家「緩やかな回復も海外経済下振れで下押しのリスクも」

三菱総合研究所の堂本健太研究員はことしの経済について「内需の柱である個人消費や設備投資が主導する形で緩やかな回復に向かうだろう。一方でアメリカや中国のほか、地政学リスクで海外経済が下振れることで日本経済が下押しされるリスクも大きい」という見通しを示しました。

そのうえで、デフレの脱却に向けて「賃金が中小企業を含めて高めの上昇が続くとともに、消費を拡大させるために家計の将来不安を払拭(ふっしょく)していくことも必要だ」と指摘しています。