専門家 “災害後の自治体職員 過重労働防止の取り組みが重要”

東日本大震災など過去の大きな災害では、心身の負担の大きさから自治体の職員が体調を悪化させ公務災害と認定されたケースもあり、専門家は過重労働となるのを防ぐ取り組みが重要になるとしています。

公務災害を認定する地方公務員災害補償基金によりますと、過去の大きな災害では、自治体の職員が精神的な負担感の大きさや基準を超えた時間外労働などで精神疾患や心疾患などを発症したケースが公務災害として認定されてきました。

中には、死亡したケースや自殺したケースもあります。

発災から1週間ほど経過すると職員の健康への影響が出始めるとされていて、産業医科大学災害産業保健センターの立石清一郎 教授は、被災者への支援を長期的に続けていくためにも、職員の負担が大きくなりすぎないようにする配慮が必要だと指摘します。

具体的には、勤務と勤務の合間に一定時間以上の休息をとる勤務間インターバルを設けることや、総労働時間や職員の安全についての専門の管理担当者を置くことが有効だとしています。

さらに、自宅などを被災しながら住民の対応に当たるケースもあるとして、ストレスのケアや相談窓口の設置も必要だとしています。

このほか、国はこうした自治体職員の負担を軽減するため、ほかの自治体から600人規模の応援職員を派遣するとしていますが、円滑に受け入れるために応援職員に依頼する業務と現地の職員が担当する業務を仕分けておくことが必要だとしています。

産業医科大学では今後、自治体の職員の健康を支援する専門のチームを派遣する準備を進めていて、必要があれば相談してほしいとしています。