NHK 2024年度から3か年の経営計画を決定

NHKは、来年度・2024年度から3か年の経営計画を決めました。健全な民主主義の発達に資することをNHKの究極の使命と位置づけ、信頼できる基本的な情報と多様なコンテンツを提供する方針を示す一方、経営改革を進め、1割値下げした受信料額を堅持するとしています。

NHKは9日、経営委員会で2024年度から2026年度までの3か年の経営計画を決めました。

「健全な民主主義の発達に資する」ことが究極の使命

計画では、NHKの究極の使命を「健全な民主主義の発達に資する」ことと位置づけ、自然災害の激甚化やフェイクニュースの問題、ロシアによるウクライナ侵攻などが起きる中、そうした公共放送の役割が再認識されているとしています。

そのうえで、▽信頼できる基本的な情報の提供=「情報空間の参照点」の提供と、▽民主主義の基盤である多角的な視点=「信頼できる多元性確保」への貢献を打ち出し、伝統メディアが競いあい、それぞれの信頼性を高めることに寄与するとしています。

コンテンツ戦略 6つの柱

そして、コンテンツ戦略として「デジタルと放送が連携して 災害時になくてはならない命綱に」なること、「民主主義の一翼を担い 平和で持続可能な世界の構築に貢献」すること、それに「世界で輝く 良質な教育・幼児子どもコンテンツ」など6つの柱を掲げ、緊急報道から大型国際コンテンツまで、多様なコンテンツを提供するとしています。

また、コンテンツの質と量を確保し、厳しい財政状況の中でも、去年10月から1割値下げした受信料額を堅持するとしています。

一方で、設備投資の大幅な削減や、あらゆる業務の見直しなど構造改革を進め、事業支出を1000億円削減し、2027年度の収支均衡を目指すとしています。

BSの2Kと4Kは、2024年度から3波を2波に、ラジオは、2026年度から現在の3波をAM・FMの2波にそれぞれ整理・削減するとしています。

このほか、信頼されるNHKの組織運営に向けて、高い専門性に基づく現場力の強化や、「ガバナンス」の観点から経営委員会が執行部と審議・検討する定期的な会議体を設置するなどとしています。

新しい経営計画の初年度 2024年度の予算と事業計画も議決

また、9日は、新しい経営計画の初年度にあたる来年度・2024年度の予算と事業計画も議決されました。

それによりますと、事業収入は前の年度より418億円少ない6021億円を見込み、このうち受信料収入は、1割値下げしたことなどから429億円少ない5810億円としています。

一方、事業支出は、今後のコスト削減を見据えた先行投資を行う一方で、業務全般の見直しを行い、前の年度より128億円少ない6591億円としています。

この結果、収入から支出を差し引いた事業収支差金は570億円の不足となることから「還元目的積立金」で補てんします。

森下経営委員長と稲葉会長が記者会見

新しい経営計画の議決を受け、森下経営委員長と稲葉会長は記者会見しました。

森下委員長は「ひとりひとりが公共放送・公共メディアに携わる者として高い倫理観を持ち、重い社会的責任を負っていることを意識しなければならず、執行部は、職員とのコミュニケーションと人材育成行いながら、計画を確実に進めてほしい」と述べました。

稲葉会長は「民主主義の健全な発展に資するため、人々が平和で豊かに暮らせる社会の実現に貢献していくために、次の3か年で取り組むことをしっかりと具体化できたのではないか。この計画などを着実に実行していきたい」と述べました。