ウクライナ 軍需産業の生産能力強化へ 民間企業に生産を要請も

ロシアの軍事侵攻が長期化する中、ウクライナでは兵器の確保が大きな課題となっていて、国をあげて生産能力の強化に乗り出しています。

ウクライナは航空戦力で劣勢に立たされているとされるほか、前線では弾薬不足が指摘されています。

しかし、最大の支援国、アメリカでは軍事支援の継続に必要な緊急予算が議会で承認されておらず、先行きは不透明なままです。

ゼレンスキー大統領は新年に向けた声明で「来年はより多くの兵器を生産する準備をしている。ウクライナの兵士や国が必要な解決策のため各国と協力している」と述べ、兵器の確保に力を入れていく考えを示しました。

シュミハリ首相は、今月3日の政府の会合でことし中に軍需産業の生産能力をおととしと比べて6倍に増やす目標を掲げました。

無人機については国内で100万機製造する計画です。

さらにウクライナ政府は、以前は軍需産業と無関係だった民間企業などに対し軍の装備品などの生産を要請し、これまでに100を超える企業が生産を始めました。

このうち、軍事侵攻を受けて農業関連製品から軍需品の生産へと転換した企業の社長が取材に応じました。

この企業では負傷した兵士を運ぶ台車や、前線で利用できるトイレやシャワーが備えられたコンテナなどを生産し、ウクライナ軍に届けています。

現在は企業が生産する製品の9割以上が軍に関係するものだということで、従業員たちは年始から溶接などの作業に取り組んでいました。

社長は軍事侵攻の直後にゼレンスキー大統領が首都キーウにとどまり戦い続ける姿勢を示した姿を見て企業としてできることがないか考え、軍需品の生産に乗り出すことを決めたということです。

軍に関わる施設はロシア軍の標的になる可能性もありますが、社長は「従業員が被害を受けることを心配してはいますが、怖がってばかりいたら国を失ってしまいます。家族や国のためになることをするだけです」と話していました。