【被災者支援情報 9日】「みなし仮設」の受け付け開始

能登半島地震を受けて、民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」の受け付けが石川県と富山県のあわせて23の市町村で始まっています。

被災した人に向けた支援の動きを随時更新でお伝えします。

《避難・住まいの支援》

みなし仮設・公営住宅の受け付け始まる

国土交通省の9日午後3時時点のまとめでは自治体が民間の賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設」について、石川県内ではあわせて10の市と町で受け付けが始まっています。
問い合わせ先の電話番号は、
▼七尾市 0767-53-8429
▼羽咋市 0767-22-9645
▼加賀市 0761-72-7936
▼かほく市 076-283-7104
▼白山市 076-274-9567
▼能美市 0761-58-2251
▼津幡町 076-288-2124
▼小松市 0761-24-8095
▼志賀町 0767-32-9211
▼中能登町 0767-72-3921です。

また、富山県内では13の市町村で受け付けが行われています。
問い合わせ先の電話番号です。
▼富山市 076-443-2097
▼高岡市 0766-20-1403
▼氷見市 0766-74-8079
▼滑川市 076-475-1453
▼黒部市 0765-54-2647
▼砺波市 0763-33-1447
▼小矢部市 0766-53-5845
▼南砺市 0763-23-2022
▼射水市 0766-51-6683
▼舟橋村 076-464-1121
▼上市町 076-472-2477
▼立山町 076-462-9975
▼朝日町 0765-83-1100です。

このほか、少なくとも、全国38の自治体で空きのある公営住宅およそ1200戸が提供可能になっているということです。
提供可能な住宅がある自治体は、▼茨城県、▼埼玉県狭山市、▼千葉県、▼千葉市、▼東京都、▼新潟市、▼富山県、▼富山市、▼富山県砺波市、▼石川県、▼石川県七尾市、▼石川県小松市、▼石川県かほく市、▼石川県川北町、▼石川県中能登町、▼山梨県、▼岐阜県、▼岐阜市、▼岐阜県高山市、▼岐阜県関市、▼岐阜県大垣市、▼岐阜県飛騨市、▼三重県、▼愛知県、▼名古屋市、▼愛知県岡崎市、▼京都府、▼京都市、▼兵庫県、▼神戸市、▼兵庫県豊岡市、▼奈良市、▼和歌山県橋本市、▼岡山県総社市、▼福岡県、▼福岡市、▼北九州市▼鹿児島県鹿屋市です。

「みなし仮設」の利用や自治体が提供する公営住宅への入居の手続きは、各自治体の窓口で受け付けています。

「みなし仮設」など 10日から入居申し込み受付

能登半島地震で震度5強の揺れを観測した富山県氷見市は、住宅が全壊など被災した市民を対象に、民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」や、市営住宅を無償で提供することになり、入居の申し込みを10日から今月14日まで受け付けると発表しました。

富山県氷見市では今回の地震で38棟が全壊や半壊となるなど、あわせて205棟の住宅に被害が出ました。

氷見市の林正之市長は9日の会見で、住宅が全壊や半壊など被災した市民を対象に、民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」や、市営住宅などを無償で提供すると発表しました。

入居の受け付けは10日から今月14日まで、市都市計画課で行うということです。

提供期間は賃貸住宅は入居日から2年以内市営住宅などは6か月以内で、家賃や共益費などは市が負担します。

住宅は現時点で91戸を確保していますが、受け付け状況次第では増やす方針だということです。

一方、市内は広い範囲で断水が続いていますが、多くの場所で水道管が壊れ水漏れが起きているため、復旧のめどはたっていないということです。

また氷見市は、被災者の生活支援や道路の復旧工事、それに上下水道の緊急修繕などの事業費として、あわせて11億円を、議会の議決を経ない専決処分としました。

高齢者や妊婦など 避難先の調整始まる 金沢

地震で被災した人たちのうち高齢者や妊婦など、配慮が必要な人たちが一時的に避難している金沢市の体育館で、9日から旅館やホテルなど次の避難先の調整が始まりました。

石川県は8日から高齢者や妊婦など配慮が必要な被災者とその家族を輪島市や珠洲市などから金沢市の「いしかわ総合スポーツセンター」で受け入れています。ホテルや旅館などに避難できるようになるまでの一時的な受け入れで、9日は次にどこに避難するか調整が行われました。避難している人たちが申込書に希望する滞在期間や車椅子の利用状況などを記入し相談窓口となっている旅行会社のスタッフが次にどこに避難するかの調整などを行いました。

現在、石川県内のホテルや旅館など110の施設が避難者の受け入れを申し出ています。受け入れ可能な人数は日によって変わりますが、最大であわせて3000人を受け入れられるということです。

避難してきた妊娠中の輪島市の女性は「おなかにいる赤ちゃんの命を助けてもらえてありがたいです。元気に生まれてきてほしい」と話していました。

避難所の運営を担当する石川県観光企画課の西川史星さんは「能登では厳しい状況が続いているので、希望者が迅速に2次避難所へ移動できるよう手を尽くしている」と話していました。

旅館が空き部屋を提供する取り組み始まる 石川 小松

地震の影響で道路が寸断され孤立している地域の避難者を支援しようと、石川県小松市の旅館が空いている部屋を提供する取り組みを始めています。

小松市は、市内の6つの施設で地震の影響で孤立している珠洲市や輪島市、能登町の一部の地域で避難生活を送っている人を受け入れる取り組みを進めています。市によりますと、1月4日から8日までに85世帯200人を受け入れたということです。

このうち、小松市井口町の旅館では従業員およそ20人の態勢で空いている部屋に輪島市から避難してきた16人を受け入れています。この旅館では、避難者に昼食を提供するためきょうは市内の弁当店に出向き、購入した19個の弁当を車に積み込んでいました。このあと、旅館のフロントで避難者に弁当を配っていました。

旅館の喜多重光総支配人は「まずは落ち着いてもらえたらと思います。この地域では物流も安定しているので同じ県民として助け合っていきたい」と話していました。

富山県 氷見市に住宅の再建費用など支給へ

富山県は、能登半島地震で住宅など200棟余りが損壊した氷見市を対象に住宅の再建費用などが支給される「被災者生活再建支援法」の適用を決めました。

「被災者生活再建支援法」は災害で住宅が全壊したり、半壊したりした場合に1世帯あたり最大300万円の支援金を支給するという法律です。

今回の地震で氷見市の住宅などの被害は全壊16棟、半壊22棟を含め205棟にのぼっていて富山県は9日、氷見市を対象に「被災者生活再建支援法」の適用を決めました。

これにより、氷見市では全壊の世帯や住宅をやむをえず解体した世帯には最大300万円、大規模半壊では最大250万円、中規模半壊では最大100万円の支援金が支給されることになります。

支給を受けるには、り災証明書など必要書類を用意して市の窓口に申請する必要があります。

珠洲市で「り災証明書」申請受け付け開始

今回の地震で震度6強の揺れを観測した珠洲市では、建物が倒壊するなど多数の住宅が深刻な被害を受けました。

市役所の1階では、9日から「り災証明書」の申請の受け付けが始まり、午前8時半の開始前から住民が次々と訪れました。

「り災証明書」は建物の被害の度合いを証明する書類で、被災した人たちが被災者生活再建支援金や義援金などの給付、応急仮設住宅への入居など、さまざまな公的支援を受ける際に必要となります。

受け付けは、応援に入った千葉市の職員など6人が対応していて、申請に訪れた人から自宅の住所や被害の状況を聞き取っていました。

市内の65歳の男性は「外を散歩しているときに地震が起きて急いで戻ったら自宅が傾き壊れていました。半年前の地震でも壊れて補修したばかりだったので残念です。珠洲市で住み続けるためにり災証明をしてもらい、支援を受けて家を建て直したいです」と話していました。

また、77歳の女性は「地震直後から避難所にいて、ようやく最近自宅を見ることができましたが、地震のほか津波の被害も受け壊れて住むことができない状況になっていてとてもショックです。直すことができるかもわからず今後どうしたらいいかわかりません」と話していました。

新潟県 住宅再建へ県が独自の支援策

今回の地震で新潟県内で被害が確認された住宅は1175棟となり、県は、自宅の応急修理を行う場合被害の度合いに応じて最大100万円を支給する県独自の支援策を9日から始めました。

9日開かれた新潟県の災害対策本部会議で花角知事は「道路や港湾など被害の大きかったインフラを早期に復旧させるとともに、被災者の速やかな生活再建へ取り組みを進めていく」と述べました。

県の担当者によりますと、9日までに新潟県内でけがが確認された人は8日から1人増えて48人となりました。また県内で被害が確認された住宅は新潟市を除いて8日から117棟増えて1025棟となり、その内訳は▼半壊が2棟▼一部損壊が1022棟▼津波による床上浸水が1棟となっています。

新潟市では今月5日までに職員が巡回するなどして被害が確認された住宅は150棟で、県内全体での住宅の被害件数は合わせて1175棟となりました。

こうしたなか新潟県は、自宅が地震の被害を受け応急修理を行う人を対象にした県独自の支援策を9日から始めました。対象となるのは災害救助法が適用されている県内14の市や町に住む人で、最も被害が大きい「大規模半壊」の場合、100万円を支給します。国の支援制度と合わせると最大170万円あまりの支給を受けられるということです。

申請は、住んでいる市や町を通じて行うことになっていて、県はホームページも参考にしてほしいとしています。

《医療・福祉》

七尾市 集会所でコロナ対策

避難所などで新型コロナなどの感染確認が相次ぐなか、被災した人たちが身を寄せている石川県七尾市の能登島半浦町にある集会所では、協力して感染対策に取り組んでいます。

15人ほどが身を寄せている集会所の入口には、アルコールで除菌するスプレーやシートを置いているほか、全員にマスクの着用の徹底を呼びかけているということです。

また、感染経路を把握できるよう、物資を運び込むため集会所に出入りした人たちの名簿を作成していました。いまのところ体調を崩した人はいないということです。

町会長を務めている藤波博之さんは「狭い場所で感染が一気に広がってしまうことが心配なので感染対策を徹底していきたい」と話していました。

二次避難に「福祉タクシー」配備へ

能登半島地震で避難している障害者や高齢者が、ホテルや旅館などの二次避難先にスムーズに移動できるよう、国土交通省は「福祉タクシー」などを集中的に配備する方針です。

被災地で過酷な避難を続ける人たちのために国はホテルや旅館などの二次避難先を確保する取り組みを進めていますが、通常のバスやタクシーでは移動が難しい障害者や高齢者などへの対応が課題となる見通しです。

国土交通省はこうした人たちがスムーズに移動できるよう▼介助をする乗務員が乗り合わせる「福祉タクシー」や▼車いすの利用者が乗りやすいよう設計された「ユニバーサルデザインタクシー」などを被災地に集中的に配備する方針です。

国土交通省は被災した県やタクシー事業者などと連携し、車両の確保や案内の方法などの調整を進めていくことにしています。

斉藤国土交通大臣は、閣議のあとの記者会見で「高齢者向けの施設などからいわゆる福祉タクシーで被災者を避難させるなど、移動の支援についても、関係機関と連携して取り組んでいく」と述べました。

《救援物資》

おむつなど衛生用品 配送する動き進む

被災地に向けておむつや医療用のマスクなど衛生用品を配送する動きも進んでいます。

医療用の物資や衛生用品をつくる業界団体「日本衛生材料工業連合会」は、8日までに石川県の金沢市と珠洲市、輪島市、志賀町、能登町にある救援物資の集積拠点に向け衛生用品を配送したということです。

この中には、大人用の紙パンツおよそ5万枚、子ども用の紙おむつおよそ6000枚、生理用ナプキンおよそ8万枚、それに医療用マスクおよそ10万枚が含まれているということです。

業界団体は、今後も国からの要請に応じて必要な衛生用品を届けたいとしています。

金沢市 飲料水など救援物資の配送始める

金沢市は、今回の地震で大きな被害を受けた地域に向けて企業や市民などから寄せられた飲料水などの救援物資の配送を始めました。

今回の地震を受けて金沢市は企業や市民などからの救援物資を受け付けていて、8日の時点で県内外の58の企業などから物資が寄せられているということです。

9日午前9時半ごろから寄せられた救援物資の被災地への発送が始まり、金沢市と災害時の協定を結んでいる配送業者のおよそ10人が、倉庫に集められた飲料水およそ3000本などを次々とワゴン車に積み込みました。送られた救援物資は七尾市にある7か所の収集拠点に集められたあと、周辺の自治体に届けられるということです。

金沢市は、このあとも粉ミルクや紙おむつ、それにブルーシートなど各地で必要としている物資を確認しながら送ることにしています。

金沢市地域力再生課の安江一智課長は「被災地の皆さんに物資を活用いただいて、一刻も早く元の生活に戻ることを願っています。市からは直接、被災した自治体と連絡を取り、必要な物資をいち早く届けたいと思います」と話していました。

《法律相談など》

富山県弁護士会が無料電話相談

今回の能登半島地震で、富山県内では最大震度5強の揺れを観測し、住宅やインフラなどへのさまざまな被害が確認されるなか、県の弁護士会は、被災した人の法的な悩みごとなどに関する無料の電話相談を9日から始めました。

富山県弁護士会は9日、弁護士などが、被災した人の法的な悩みごとに関する相談に無料で応じ、さまざまな支援制度についての情報提供も行う電話の相談窓口を設置しました。

対象は、原則、富山県内に住む人で、県内で被災した人の親族などからの相談も受け付けるということです。

窓口は、当面設置される予定で、平日の10時から16時まで対応するということです。

電話番号は076-421-4811です。

電話で受け付けをしたあと、担当する弁護士から電話を折り返し、1回あたり30分程度まで相談に対応する予定だということです。

富山県弁護士会の事務局は「ささいなことでも気軽に相談してほしい」としています。

《国・自治体・警察など》

国税庁 税金の申告・納付などの期限延長

国税庁は、石川県と富山県の住民や企業を対象に国に納める税金の申告や納付などの期限を延長することを決めました。

対象の地域は石川県と富山県のすべての市町村で、住民の所得税や相続税、企業の法人税といった国に納める税金に関して、今月1日以降の申告や納付、届出などの期限を自動的に延長します。

いつまで延長するかは今後、検討するとしています。

また、2県以外でも、今回の地震で被災し申告や納付ができない場合には、税務署に申請して認められれば期限が延長されるとしています。

《ボランティア》

ボランティア 募集開始時期は未定

石川県七尾市の避難所となっている中島小学校には200人余りの住民が避難していて、地元のボランティアなどが支援物資を管理して住民に飲料水や食料品などを配布しています。

避難所には最も多いときで30人ほどのボランティアが活動していましたが、正月の休みが明けて仕事が始まり、いまはおよそ15人と半分ほどになっています。

大学4年生の谷一浩平さんは、実家が被災し、今月3日から実家近くのこの避難所でボランティア活動を行っているということで「衛生管理が必要なトイレ掃除など人手が足りていません。地元の方がボランティアで来てくれれば助かります」と話していました。

七尾市社会福祉協議会によりますと、災害ボランティアセンターは安全に活動ができる状況になりしだい設けられるということですが、ボランティアの募集開始の時期は未定としています。