日銀 大規模金融緩和策転換するかどうか見極めに 難しい判断も

日銀はことし、長期にわたって続けてきた大規模な金融緩和策を転換するかどうかの見極めに入ります。賃金の上昇を伴った2%の物価安定目標が達成できるという見通しが立つことが政策転換の前提となりますが、国内外の経済をめぐる不確実性が依然高い中で日銀は難しい判断を迫られることになります。

日銀の植田総裁は先月26日、NHKのインタビューで今後の政策判断のポイントとしてことしの春闘での賃上げの動向とこれまでの賃金上昇の物価への波及という2点をあげたうえで、春闘での賃上げの水準については去年(2023年)と同じかそれを少し上回る水準が望ましいとの考えを示しました。

ことしの春闘で大手企業の賃上げの状況は3月の集中回答日までにおおむね出そろいますが、中小企業の賃上げの動向が把握できるのはさらに先になります。

このため、日銀がどのタイミングで企業全体の賃上げの状況を見極めて政策を判断するのかに市場の関心が集まっていました。

これについて植田総裁はNHKのインタビューに対し、「完全に中小企業の賃金データが出たり決定がなされたりしていなくても他の中小企業の指標で、例えば収益が好調である。あるいはそのバックにある消費や投資が好調でこれがうまく好循環を生み出すということがあればある程度、前もっての判断ができるかと思う」と述べ、中小企業の賃上げの結果が出そろわなくても関連するデータを踏まえて前もって判断することは可能だという考えを示しました。

日銀がことし金融緩和策を転換し、マイナス金利政策を解除すればおよそ17年ぶりの利上げとなりますが、能登半島地震の経済への影響やアメリカの金融政策の方向性など国内外の経済をめぐる不確実性が依然高い中、日銀は難しい判断を迫られることになります。