【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

デンマーク F16戦闘機の供与は4月から6月の間の見通し

デンマーク政府は、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナを支援するため、保有するF16戦闘機19機の供与を決めています。

供与の時期について、これまではことし3月から4月になるとしていましたが、デンマーク国防省は8日、NHKの取材に対し「最終的な引き渡し時期は、ウクライナ兵の訓練やウクライナにおける必要なインフラの確立と維持などに左右される。現時点ではことしの第2四半期になると見込まれる」と回答し、ウクライナ側の受け入れ態勢が整うのを待って4月から6月の間になるという見通しを示しました。

F16戦闘機をめぐっては、デンマークのほか、オランダが少なくとも18機を、ノルウェーが2機をそれぞれ供与すると表明していて、アメリカやデンマークなどでウクライナ軍のパイロットなどへの訓練が始まっています。

ウクライナ軍報道官 “防空能力の強化が課題”

ウクライナの国家警察によりますと、8日、東部のドニプロペトロウシク州とハルキウ州、それに西部フメリニツキー州などでロシア軍による攻撃があり、あわせて4人が死亡し、30人以上がけがをしたということです。

この攻撃について、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ウクライナ軍がロシア軍の無人機8機すべてを撃墜したものの、飛来したミサイル51発のうち撃墜したのは18発にとどまったとしています。

これに関連してウクライナ空軍の報道官は8日、地元テレビに出演し、この日のロシア軍による攻撃では多数の弾道ミサイルが使われたとした上で「このような標的は、地対空ミサイルシステム『パトリオット』でしか迎撃できないことを理解すべきだ」と述べ、弾道ミサイルに対応できる防空能力の強化が課題だと指摘しました。

ウクライナは12月末以降、ロシア軍によるミサイルや無人機を使った大規模な攻撃を相次いで受け、各地で死傷者が増え続けていて、ゼレンスキー大統領は各国の首脳などに対し、防空能力の向上を図るための支援を繰り返し呼びかけています。

ウクライナ 兵器の生産能力強化へ

ロシアの軍事侵攻が長期化する中、ウクライナでは兵器の確保が大きな課題となっていて国をあげて生産能力の強化に乗り出しています。

ウクライナは航空戦力で劣勢に立たされているとされるほか、前線では弾薬不足が指摘されています。しかし、最大の支援国、アメリカでは軍事支援の継続に必要な緊急予算が議会で承認されておらず、先行きは不透明なままです。

ゼレンスキー大統領は新年に向けた声明で「来年はより多くの兵器を生産する準備をしている。ウクライナの兵士や国が必要な解決策のため各国と協力している」と述べ、兵器の確保に力を入れていく考えを示しました。

シュミハリ首相は、1月3日の政府の会合でことし中に軍需産業の生産能力をおととしと比べて6倍に増やす目標を掲げました。無人機については国内で100万機製造する計画です。

さらにウクライナ政府は、以前は軍需産業と無関係だった民間企業などに対し、軍の装備品などの生産を要請し、これまでに、100を超える企業が生産を始めました。

このうち、軍事侵攻を受けて、農業関連製品から軍需品の生産へと転換した企業の社長が、取材に応じました。

この企業では負傷した兵士を運ぶ台車や、前線で利用できるトイレやシャワーが備えられたコンテナなどを生産し、ウクライナ軍に届けています。

現在は企業が生産する製品の9割以上が軍に関係するものだということで、従業員たちは年始から溶接などの作業に取り組んでいました。

社長は、軍事侵攻の直後にゼレンスキー大統領が首都キーウにとどまり戦い続ける姿勢を示した姿を見て企業としてできることがないか考え、軍需品の生産に乗り出すことを決めたということです。

軍に関わる施設はロシア軍の標的になる可能性もありますが、社長は「従業員が被害を受けることを心配してはいますが、怖がってばかりいたら国を失ってしまいます。家族や国のためになることをするだけです」と話していました。