新潟 西区 防犯カメラには地震発生から冠水の様子が克明に

1月1日の地震で、新潟市西区では液状化現象が確認され、各地で住宅などに被害が出ています。新潟市西区のホテルに設置された防犯カメラには、地震の直後、地面に亀裂が入り、水が流れ出る様子が克明に記録されていました。

新潟市西区寺尾朝日通地区のホテルに設置された防犯カメラの映像です。

1月1日の午後4時10分ごろ、地震が発生して電柱や電線が揺れ始め、地面が盛り上がるように大きく揺れました。

その直後、駐車場の地面に亀裂が入り、揺れが始まって3分ほどたつと水が噴き出します。

映像を早送りすると、噴き出した水が周りにどんどん広がっていく様子が分かります。

また、歩道橋の近くにも、茶色く濁った水が流れてきて、車道の片側車線が冠水していきました。

ホテル従業員が撮影した映像では

この新潟市西区の現場にあるホテルの従業員、尾崎信哉さんが、地震直後の午後4時20分ごろに外で撮影した映像です。

地面に亀裂が入って段差ができていたほか、茶色い水が流れ出ている様子も確認できます。

尾崎さんによりますと、この映像を撮影したあと、地面には、ひざの高さくらいの段差が生じたということです。

尾崎さんが、およそ4時間後の午後8時ごろに同じ場所を撮影した映像には、水があふれ続け、坂の下の歩道に水たまりができていることがわかります。

当時、周辺の住宅は断水し、ホテルが井戸水を利用できたことから、周辺の住民に水を配ったということです。

また、ホテルの館内も扉が開かなくなったり、床の一部が盛り上がったりするなどの被害が出ました。

尾崎さんは「地面からの水が止まらず、いつまで続くか不安になった。被害はすぐに修理できるところではなく、営業停止をしないといけないかもしれず、その間の生活が不安です」と話していました。

液状化で住宅傾く被害 “建て直すしかない”

液状化現象が確認されている新潟市西区の寺尾地区では、住宅が傾く被害などが出ています。

古川賢さん(73)と早苗さん(67)の夫婦の自宅です。

1月1日の地震のあと、台所や廊下などの床がゆがみ、一部の扉が開かなくなったほか、家が傾き、ゴルフボールを置くと転がっていくようになりました。

また、自宅の周りにあるブロック塀が傾いたほか、中庭やブロック塀の近くの地面に亀裂が入り、水や砂が流れ出ていたということです。

早苗さんには視覚障害があり、「床が斜めになっているので、平衡感覚がおかしくなります。目が見えない分、足で感じるので気持ち悪くなります」と話していました。

古川さんの家は、60年前の新潟地震の時に建設中で、その際は、地震でゆがんだ基礎部分を作り直したということです。

古川賢さんは「父親が残してくれた家ですが、いつ崩れてくるか分からない状態なので、建て直すしかないです。液状化現象が心配ですが、土地がここにしかないので、どうしようもありません。費用の面も心配です」と話していました。

専門家 調査で“緩やかな斜面でも地滑り”

1月1日の地震で、液状化現象による被害が相次いだ新潟市西区を専門家が現地調査したところ、海岸から広がる砂丘が緩やかな斜面となった地域で、複数の住宅が傾く被害などが確認されたことがわかりました。

専門家は、液状化現象で緩やかな斜面でも地滑りが起き、住宅への被害を拡大させたと指摘しています。

新潟市によりますと、今回の地震の影響で新潟市西区では、7日正午時点で、液状化現象が62か所で確認され、住宅や道路などに被害が出ています。

こうした被害を受け、新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志所長らの研究グループは、4日から2日間、液状化現象の被害が出た新潟市西区の寺尾地区などを調査しました。

その結果、海岸から広がる砂丘が緩やかな斜面となり平地に続く地域で、複数の住宅が傾く被害などが確認されたということです。

卜部所長は、液状化現象で通常は地滑りが起きにくい緩やかな斜面でも、複数の小さな地滑りが起き、住宅への被害を拡大させたと指摘しています。

卜部所長は「砂丘のすそ野にあたる部分で液状化現象が起きて、地層の上部の重さを支えきれなくなり、小さい地滑りが起きて、家が傾く被害などが出たと考えられる。日本海側には同じような条件の地域がほかにもあるため、対策を考えるうえでも、今回の被害の実態を詳しく調べ、メカニズムを明らかにしたい」と話していました。

新潟市 「り災証明書」の交付へ 住宅被害の調査

今月1日の地震で液状化現象などによる住宅への被害が相次いだ新潟市では、「り災証明書」の交付に向け、新潟県などから派遣された職員も参加し、住宅被害の調査が進められています。

新潟市での「り災証明書」の交付に向けた住宅の調査は、新潟県や周辺自治体から派遣された20人の職員を含む60人態勢で行われました。

このうち、液状化現象が確認された新潟市西区の善久地区では、3人の職員が被災した住宅を訪問し、住んでいる人から被害状況を聞き取った上で、住宅の外観を撮影したり、住宅の傾きを測定したりしていました。

「り災証明書」は、住宅の被害を受けた人が公的支援を受ける上で必要になります。

新潟市によりますと、7日午前8時の時点で「り災証明書」の申請はおよそ3100棟で、さらに増える見通しだということです。

調査を行った1人で、新発田市職員の田中秀作さんは、「住んでいる人は家が傾いて具合が悪いと話していました。住んでいる方の生活再建の第一歩になるように速やかに調査していきたいです」と話していました。