石川 2万8800人余が避難 農業用ハウスで過ごす人も 不足物資は

石川県によりますと、7日午後2時時点で県内の404か所で避難所が開設され、2万8821人が避難しているということです。

避難所の中には必要な支援物資が不足しているところがあるほか、輪島市では指定の避難所に入りきれない人たちも。

避難の現状を随時更新でお伝えします。

農業用ハウスに避難する人は

輪島市長井町では指定の避難所となっている小学校に多くの人が避難して入りきれず、物資も足りなくなっていたことから、近くにある農業用ハウスにおよそ30人が緊急で避難し、50代から90代の11人が過ごしています。

中には持病を抱える寝たきりの95歳の女性もいて、避難している人たちは夜は服を何枚も重ねて寒さをしのいでいるということで、これから雪や寒さが強まるのを心配する声があがっています。

ハウスの中では、地面にベニヤ板や苗を入れるかごなどを重ねて置き、ストーブや毛布を持ち込んで暖をとっていました。

指定の避難所ではないため自治体からの物資は届いていないということです。

95歳の女性の娘の73歳の女性は「どこか病院など入れるところがあればと思いますが、ないと言われています。心臓も悪くて病気なので、もう無理なのかなと思います」と話していました。

輪島 避難者が体調不良訴え病院で治療

輪島市によりますと市内の大屋公民館におよそ200人の住民が避難していますが、6日、およそ10人が腹痛などを訴え市内の病院で治療を受けたということです。

その後、全員、避難所に戻っているということです。

輪島市が7日午前9時現在でまとめたところ、市内161か所の避難所におよそ1万2000人が避難しています。市はDMAT=災害派遣医療チームなどと連携して避難している住民の健康状態の確認などを続けることにしています。

珠洲 発熱などの症状訴えるケース相次ぐ

珠洲市などによりますと、珠洲市内の複数の避難所では、避難している人が発熱などの症状を訴えるケースが相次いでいるということです。

避難生活が長引くことも予想される中、珠洲市は「体調が悪い人は絶対に我慢せず、市や避難所の担当者などにすぐに申し出てほしい」と呼びかけています。

そのうえで、感染症の防止や寒さへの対策を強化していきたいとしています。

珠洲の避難所 物資届くも給水袋や衛生用品など不足

珠洲市の避難所の中には、水を保管するための「給水袋」や除菌スプレーなどの物資が不足している避難所もあり、必要な物資が届かない状態が続いています。

およそ200人が避難している珠洲市の上戸小学校では、給水車が到着しているほか食料も届き、必要な量が確保できるようになってきています。一方で、水を保管する給水袋が不足しているということです。

また、この避難所では避難していた1人がインフルエンザに感染したことから衛生面の対策の強化が必要になっていますが、除菌スプレーや排せつ物を処理するための袋も足りていないということです。さらに介護が必要な高齢者の着替えや介護者が使うための手袋も不足しているということです。

避難所の運営にあたる上口尚光さんは「本当に必要な物資が届いていないことが大きな課題となっている。避難所が必要としている物資を聞き取るなどの調整が必要ではないか」と話していました。

能登町の自主避難所 暖かい寝具が必要

石川県能登町にある自主避難所では、高齢者などが厳しい状況での生活を余儀なくされていますが、避難が長期化する中で支援の充実を訴えています。

能登町宇出津地区の自主避難所、崎山山村開発センターに避難している坂津世史さんによりますと、センターには7日午前の時点でもおよそ50人が避難していて、ほとんどが70代以上の高齢者だということです。

給水車が来るため飲み水は確保できていますが、生活用水が足りずトイレを流すのはまとめて1日1回にとどめ、手を洗う代わりにアルコール消毒をするなどして水を節約しています。

食料は飲食店を営む坂さんなどが米を提供したり最寄りの避難所から受け取ったりしていますが、高齢者用のおむつなどの消耗品はそれぞれが備蓄を持ち寄りまかなっていて、あと数日で足りなくなりそうだということです。

建物内の和室では、お年寄りが座布団を敷いた上に毛布をかけて寝泊まりしていますが、7日夜から冷え込むという予報を受けて、暖かい寝具が必要だといいます。

坂さんは「先のことはあまり考えずにまずは1日1日食事や生活することを考えて過ごしています。高齢の人もまだ気が張っていますが、避難生活が長引くと体調を崩すのではないかと心配です。自分たちの自主避難所はまだ生活できていますがもっとひどいところもあるし、早く被災者みんなに支援が行き届いてほしい」と話していました。

輪島 車庫に避難も寒さ厳しく

輪島市では、倒壊を免れた自宅の車庫などで避難生活を続けざるをえない人たちもいて、厳しい寒さへの対策を進めています。

輪島市水守町の北濱幸作さん(71)は、今回の地震で木造2階建ての自宅が大きく傾き、住めない状態となっています。北濱さんは一度、避難所に行きましたが、自宅のすぐそばにある木造の車庫が倒壊を免れていたことから、地震が起きた際に大阪市から帰省していた長男の大志さん(47)とともに現在は車庫で避難生活をおくっています。

車庫の中は寒さが厳しく、2人は自宅からストーブや寝具、防寒具などを持ち込んで、1台のストーブで暖をとっているということです。

また、7日は、雪が激しくなるのに備えて車庫の隙間を塞ぐなどの対策をとるため朝から2人で壊れた自宅から部屋の扉を外して運び出していました。

北濱幸作さんは「今回の被害は現実のものと思えず、ぼう然とするしかないが、車庫が無事で暖を取り足をのばして眠れることだけでもよかったと思うしかない。寒さ対策をして何とか乗り切りたい」と話していました。

輪島 孤立状態の地区“雪で避難所の寒さ厳しい 燃料足りず”

7日午前11時半すぎに、孤立状態にある輪島市の鵠巣地区で、避難している60代の男性が撮影した画像です。

避難所になっている小学校や公民館周辺の道路、民家の屋根などに雪が積もっています。

撮影した男性によりますと、雪は降ったりやんだりを繰り返していて、停電が続く中、避難所では寒さが厳しくなっており、ストーブに使う灯油や発電機用のガソリンが足りていないということです。

鵠巣地区の避難所では、食事は1日に2回提供されているということですが、飲み水が足りていないほか、避難生活が長期化するなかで、下着などの衣服も不足しているということです。

鵠巣地区では市の中心部に向かう国道が寸断されていて、自衛隊などが海岸沿いを歩いて物資を避難所に運び込んでいるということです。

撮影した60代の男性は「地震で自宅がめちゃくちゃになり、命からがら逃げてきたので、下着など着る物が十分にありません。地区に2つある避難所には多い時であわせて300人ほどがいて、自力で出て行った人もいますが動けない老人もおり、燃料や飲み水、下着など支援の充実をお願いしたい」と話していました。

石川 2万8821人が避難

石川県によりますと、7日午後2時時点で県内の404か所で避難所が開設され、2万8821人が避難しているということです。

自治体別にみると、
▽金沢市が2か所で30人、
▽七尾市が35か所で2078人、
▽小松市が1か所で1人、
▽輪島市が160か所で1万1932人、
▽珠洲市が62か所で6869人、
▽加賀市が1か所で4人、
▽羽咋市が1か所で106人、
▽かほく市が2か所で55人、
▽津幡町が2か所で28人、
▽内灘町が4か所で120人、
▽志賀町が14か所で853人、
▽宝達志水町が2か所で59人、
▽中能登町が4か所で184人、
▽穴水町が45か所で2669人、
▽能登町が69か所で3833人となっています。

避難所のトイレ 衛生環境の悪化懸念

輪島市の避難所の中には、断水の影響で7日も依然として水洗トイレが使えない上、まだ仮設トイレの設置もできていないところがあり、衛生環境の悪化が懸念されています。

およそ60人が避難している輪島市中心部の避難所、「ふれあいプラザ二勢」では、電気が復旧したほか、水や食料などの物資も届くようになりましたが、断水が続いているため、水洗トイレが使ません。

避難者がトイレを使う時はタンクにためた水を自分で流していますが、トイレットペーパーを一緒に流して詰まらせてしまうケースもあるなど、衛生環境の悪化が懸念されています。

避難者からは仮設トイレの設置を求める声もありますが、市によりますと、市内では避難所の数が多く、道路状況も良くないことから、設置が追いついていないということです。

避難している82歳の女性は「トイレに紙を流さないよう注意書きがありますが、お年寄りが多くてちゃんと使えないなど困ることが多いです。仮設トイレが早く使えるようになるとうれしいです」と話していました。

「トイレトレーラー」8台が届く

断水と停電が続く被災地でトイレの環境が悪化している中、水洗のトイレを載せた「トイレトレーラー」が全国各地の自治体から、被害が大きかった地域の避難所などに届けられています。

「トイレトレーラー」は、全国各地の20の自治体が所有しているもので、このうち8台が▽能登町、▽七尾市、▽輪島市の避難所など石川県内に届けられました。

トイレトレーラーを全国に広げる取り組みを進めている一般社団法人「助けあいジャパン」によりますと、トレーラーには3つから4つの水洗トイレが搭載され、太陽光発電の利用で停電している地域でも水洗トイレが利用でき、1台でおよそ1500回利用できるということです。

能登町役場の庁舎には5日、群馬県が所有するトレーラーが届き、多くの人が利用していました。

利用した70代の女性は「水が流れるのと流れないのでは全く違う」と話していたほか、50代の男性は「断水で水洗トイレが使えずゴミ袋を便器に入れてすませている状態だったので、水も流れる上に手も洗えるので助かる」と話していました。

能登町危機管理室の道下政利 室長は「トイレ環境が不安な状態だと、水分をとらなくなり脱水症状など健康状態に問題が出るため、断水が続く中、水洗トイレが使えて、非常に助かる」と話していました。

感染症対策の支援チーム 避難所まわり助言 マスク配布も

今回の地震で多くの人が避難生活を送る中、感染症の専門家で作る学会の支援チームが石川県七尾市の避難所などをまわり、感染症対策について助言するなどの支援を行っています。

支援を行っているのは感染症対策を専門とする医師や看護師、それに薬剤師などで作る日本環境感染学会のDICT=災害時感染制御支援チームです。

7日は防衛医科大学校・防衛医学研究センターの加來浩器 教授たち8人が七尾市に入り、公立能登総合病院で市内の避難所の新型コロナウイルスの状況などを確認しました。

また、避難所となっている小学校を訪れ、調理室やトイレなどの衛生状況を確かめました。

避難所は多くの人が集まっているほか水やアルコールなどの資材が不足しがちなため衛生管理が難しいということで、加來教授たちは、避難所の担当者に手洗いや換気の徹底を放送などで呼びかけてほしいと伝えていました。

支援チームは今後も交代で被災地に入り、感染症の状況の調査やマスクなど不足している資材の配布などにあたるということです。

加來教授は「今回見た避難所は学校でベテランの看護師さんも配置されていて、うまく運営されているように感じた。せきや熱、下痢といった症状がある方はいち早く管理者に届け出ていただいて、それ以上広がらないような対策につなげてほしい」と話していました。

珠洲 自宅で過ごす家族「心配で夜も眠れない」

珠洲市では、地震のあとも自宅で過ごす家族もいて、停電や断水で不自由な生活が続く中で子どもへの影響を心配しています。

このうち、珠洲市正院町に住む西法司一也さん(40)は、妻の綾さん(29)や6歳と2歳の子ども、それに両親らと一緒に自宅で過ごしています。

木造2階建ての自宅は目立った被害はありませんでしたが、水道も電気も止まっているため、避難所から携帯トイレや水などの物資をもらっているということです。

西法司さんは「近くの家は完全に崩れているところも多くあり、見慣れた景色が一変してしまって、被害の大きさにがく然としました。余震も続いているのでいつまた大きな揺れがくるのか、揺れたときに子どもを守り抜けるのか本当に心配で夜も安心して眠れません」と話しました。

今月1日の地震のあと、家族はまだ1度も風呂に入れていないということです。

また夜は、子どもたちがなるべく不安にならないよう家族で体を寄せ合って眠りにつくということです。

妻の綾さんは「2歳の子どもは、地震と聞いたり少し揺れたりしただけで泣いてしまうなど不安定になっていて、トラウマなど心の影響も心配です」と話していました。