石川 珠洲 “救助の90代女性 会話できるまで回復” 現場の医師

地震発生からおよそ124時間たった6日夜、石川県珠洲市で倒壊した住宅から救助された90代の女性は、足にけがをしているものの、会話ができるまで回復していることを現場で支援に当たった医師が明らかにしました。

地震の発生からおよそ124時間たった6日午後8時20分ごろ、珠洲市正院町川尻の倒壊した2階建ての住宅から90代の女性が救助されました。

救助に当たった消防隊や医師が7日午前に取材に応じ、女性は足にけがをしているものの、7日朝には会話ができるまで回復しているということです。

救助活動に当たった緊急消防援助隊の粂孝宜 救助小隊長は「1階と2階の床面の間隔がほとんどない中で女性のひざ下が複数の家財に挟まっていた。隙間が狭いので手作業で慎重に作業を進め、数時間かけて救助することができた。震災発生から72時間を超える生存救助はまれな事案だが、救助隊はそういったケースが多くあると認識して諦めない救助活動を行いたい」と話していました。

救助にあたった医師「非常にまれなケース」

90代の女性の救助にあたったNPO法人ピースウィンズ・ジャパンの災害支援チームの稲葉基高 医師は「長時間がれきに挟まれた人を急に救助すると突然容体が悪化する『クラッシュシンドローム』の可能性があり、救助活動と並行して医療処置を行う必要があった」と活動の状況を話します。

「クラッシュシンドローム」はがれきなどによる圧迫で体の一部にたまった有害物質が救出後、全身に回り場合によっては死に至ることもある症状です。

稲葉医師は「今回は必要な薬剤なども準備された状況で、救助チームともうまく連携しながら救出することができた。その後の女性の経過もよいということで、自分の経験から見ても非常にまれなケースだと言える。医療と救助の連携で命が救えてうれしい」と振り返りました。

その上で、「現在の環境を考えると日々刻々と救助が厳しくなっていくのは確かだが、実際に90代の方を124時間たった末に救出できた。諦めずに捜索救助を続ける必要がある」と話していました。

松本総務相「1人でも救えるように活動を続けていきたい」

松本総務大臣は記者会見で地震発生から120時間以上過ぎた6日夜、倒壊した住宅から90代の女性が救出されたことに触れ、「少しでも可能性がある限り、救命救助活動に全力を挙げたいという消防の使命感を持った取り組みに加え自衛隊や警察、DMAT=災害派遣医療チームなどとの連携の成果だ。厳しい現場の状況なので、二次災害には細心の注意を払ってもらいながら、1人でも救えるように、総務省としてもしっかりと支えながら活動を続けていきたい」と述べました。