自民 池田佳隆議員ら逮捕 政治資金規正法違反の疑い 東京地検

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は7日、安倍派に所属する池田佳隆 衆議院議員が政策秘書と共謀し、政治資金収支報告書にうその記載をしていたとして、池田議員と政策秘書の2人を政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。池田議員側は安倍派の議員の中でも高額の4800万円余りのキックバックを受けていたということで、一連の問題は、安倍派の国会議員が逮捕される事態になりました。

逮捕されたのは、▽安倍派「清和政策研究会」に所属する衆議院議員で、7日、自民党から除名された池田佳隆容疑者(57)と▽政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)です。

東京地検特捜部によりますと、池田議員は、会計責任者だった柿沼秘書と共謀し、おととしまでの5年間に安倍派からあわせて4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体「池田黎明会」の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしたとして政治資金規正法違反の疑いが持たれています。

安倍派では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックし、その分を派閥側や議員側の収支報告書に記載しない運用が組織的に行われた疑いがあり、特捜部は先月27日、所属議員の中でも高額のキックバックを受けていた池田議員の事務所などを捜索し、捜査を進めていました。

特捜部は池田議員を逮捕した理由について「具体的な罪証隠滅のおそれが認められた。金額も考慮したが、罪証隠滅のおそれが大きいと判断したため逮捕した」と説明しました。

池田議員は比例代表・東海ブロック選出で当選4回。

おととし8月まで10か月間、文部科学副大臣を務めました。

安倍派で裏金化した資金の総額は、議員側が派閥側に納入していないパーティー収入も合わせて6億円規模に膨らむ疑いがあり、一連の問題は安倍派の国会議員が逮捕される事態になりました。

特捜部は池田議員を本格的に取り調べ収支報告書が作成された経緯など実態解明を進めるものとみられます。

岸田首相「大変遺憾で重く受け止めている」

岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「わが党所属の国会議員が逮捕されたことは大変遺憾で重く受け止めている。党として強い危機感をもって政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く感じている」と述べました。

また、議員辞職を求める考えがあるか問われたのに対し「とりあえず除名の方針を確定した。党として決めている方針は以上だ」と述べました。

自民 池田衆院議員を除名処分

自民党は、派閥の政治資金パーティーをめぐり、政治資金規正法違反の疑いで逮捕された池田佳隆衆議院議員について除名処分にすることを決めました。

茂木幹事長は「大変遺憾に思っている。重く受け止め、今後の捜査の推移を見守りたい」というコメントを出しました。

自民 安倍派「心よりおわび 捜査に協力」

自民党安倍派は「関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしていることに心よりおわび申し上げます。捜査に引き続き真摯(しんし)に協力し、1日も早く政治への信頼を取り戻すべく、果たすべきことをしっかりと果たしていく所存です」というコメントを出しました。

また安倍派の幹部の1人はNHKの取材に対し「派閥に所属する現職の国会議員が逮捕されたことは非常に残念だ。派閥としては、一連の事案を重大に受け止めているし、捜査には最大限協力し、真摯に対応していくことに変わりはない」と述べました。

立民 泉代表「国会でも全力で追及する」

立憲民主党の泉代表は千葉県市川市で記者団に対し「現職の国会議員が逮捕されたことは、ゆゆしき事態であり、岸田総理大臣が指導力を発揮せず、何もしてこなかったことも問題だ。自民党が池田議員を除名したが、すべて後追いだ。自民党の中ですでに事情聴取を受けて、裏金が1000万円単位で明らかになっている議員もいるが、まだ処分は下されていない。自民党は議員辞職や離党を求めるべきだ」と述べました。

そのうえで「震災復興については全面的に協力しているが、政治の悪を正すことについては手を抜いてはいけない。国会でも全力で追及する」と述べました。

維新 藤田幹事長「派閥や金権体質の政治を一掃すべき」

日本維新の会の藤田幹事長はNHKの取材に対し「事実であれば、池田議員はみずから辞職すべきだ。池田議員の逮捕で終わる問題ではなく、意図的かつ組織的に違法な裏金づくりに関与した議員は、全員が責任を問われる。自民党に政治とカネの問題に真剣に向き合う姿勢があるのか疑問だ。派閥や金権体質の政治を一掃すべきだ」と述べました。

公明 山口代表「自民党自身も当事者として自浄能力発揮を」

公明党の山口代表はNHKの取材に対し「捜査は大詰めで、しっかり見届けたい。信頼を取り戻すため政治資金規正法の改正も含めた 腹の据わった対応が重要だ。党として改革案を近く提言したいが、自民党自身も当事者として自浄能力を発揮するという強い決意で『政治刷新本部』の活動が実を結ぶよう、しっかり取り組んでいただきたい」と述べました。

共産 小池書記局長「関係者全員の証人喚問が必要」

共産党の小池書記局長はNHKの取材に対し「現職の国会議員が逮捕されたことは重大だ。岸田総理大臣の責任も極めて大きく、池田議員を直ちに辞職させるべきだ。裏金問題は金額で線引きするものではなく、徹底的に刑事責任が追及されるべきで、今回の逮捕で幕引きしてはならない。検察の事情聴取を受けている関係者全員の証人喚問が必要で、真相解明なしに政治改革に逃げることは許されない」と述べました。

安倍派のパーティー券購入者「記載さえしていれば」

池田議員の秘書に頼まれて安倍派のパーティー券を買ったことがある愛知県内の男性がNHKの取材に応じ、「当選1回の駆け出しの頃に頼まれ、集めるのは大変だろうと思って買った。ここまで問題になって、ずっと隠れたままで済むとは思わないので、説明責任を果たすべきだと思っていた」と話しました。
そのうえで、「池田議員は、すごく優秀で、青年会議所での評価も高く、日本青年会議所の会頭を務め地元以外にもネットワークがあるので、パーティー収入を集める力は持っていたと思うが、ここまでの金額をプールしていたとは、正直驚いた。キックバックを受けていたとしても、もともと池田議員に払うつもりで買ったので、収支報告書に記載さえしていれば文句をいうつもりはなかったが、ちょっとやりすぎたと思う。記載さえしていれば問題なかっただけに、すごく残念だ」と話していました。

安倍派のパーティー券購入者「報道後 電話つながらず」

安倍派のパーティー券を購入し出席したことがある愛知県の女性は「池田議員の秘書から『東京のパーティーがありますけどどうですか』と言われて、2万円払って購入した。会場のホテルには大勢の人がいて混雑し、食事はなかった。今回の問題が報じられてから、事務所や秘書に電話しているもののつながらない。多くの後援者がいて議員として成り立っているのだから、応対できないようではもう終わりだと思う」と話していました。

池田佳隆衆院議員とは

逮捕され自民党を除名された池田佳隆衆議院議員(57)は、比例代表・東海ブロック選出で当選4回。

愛知県出身で、慶應義塾大学大学院を修了後に父親が起業した化学薬品メーカーを継ぎ、2006年には日本青年会議所の会頭を務めました。

複数の支援者によると、この頃安倍元総理大臣と知り合ったことなどをきっかけに、2012年の衆議院選挙で愛知3区から立候補し初当選しました。

その後、2014年、2017年、2021年の衆議院選挙では、いずれも小選挙区で敗れ、比例代表で復活当選していました。

自民党では、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」に所属して教育政策に取り組み、岸田内閣でおととし8月まで10か月間文部科学副大臣などを務めていました。