大動脈解離“男女で発生率 差がない可能性” 熊本大などGP発表

死亡することもある血管の病気、大動脈解離は、これまで男性に多いとされてきましたが、実際には男女で発生率に差がない可能性があるとする分析結果を、熊本大学などのグループが発表しました。

この研究は、熊本大学の辻田賢一 教授や丸目恭平 客員助教らのグループがアメリカの医学雑誌で発表しました。

大動脈の壁が裂ける大動脈解離は、死亡することも多い深刻な病気で、これまで男性が女性の2倍から3倍発症しやすいとされてきました。

グループでは、地域で多くの患者を受け入れている宮崎県延岡市の県立延岡病院で病院到着前に死亡した人にCTを使った死因の調査が行われていることに注目し、大動脈解離と診断された患者と死後に大動脈解離と分かった人をあわせて分析しました。

その結果、2008年から2020年までの間に大動脈解離になった患者は▼男性が129人、▼女性が137人でした。

人口比などを調整した発生率は年間、10万人あたりで▼男性が16.7人、▼女性が15.7人と男女でほぼ差がなかったということです。

一方、病院に到着する前に死亡した人の割合は▼女性が37%、▼男性が21%と女性のほうが高くなっていました。

丸目客員助教は「大動脈解離は男性に多いと認識していたのは、病院にたどりついた氷山の一角を見ていた可能性がある。男女とも病気について啓発することが大切だ」と話しています。