【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

南部クリミアの奪還目指すウクライナ ロシア軍航空基地を攻撃

ロシアに併合されている南部クリミアの奪還を目指すウクライナ軍は6日、クリミアにあるロシア軍の航空基地を攻撃したと明らかにし、攻勢を強めています。

ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は6日SNSで、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアの西部にあるロシア軍のサキ航空基地を攻撃し「すべての目標に命中した」と投稿しました。

ロシア国防省は6日、クリミア上空でウクライナ軍のミサイル4発を撃墜したと発表しましたが、航空基地への被害については言及していません。

ウクライナ軍は4日にもクリミアにあるロシア軍の施設を攻撃していて、クリミアへの攻勢を強めています。

一方ウクライナでは6日、各地にロシア軍のミサイルなどによる攻撃があり、地元の知事によりますと東部ドネツク州のポクロウシクで、子ども5人を含む11人が死亡し8人がけがをしました。

ドネツク州ではこの日、別の場所でも死傷者が出たほか、同じ東部のドニプロペトロウシク州で1人が死亡するなど民間人に犠牲者が出ています。

こうした中、東部ハルキウ州の検察の報道官は6日、メディアに対しロシア軍が2日のハルキウ市への攻撃で使ったミサイルのうちの1発について「北朝鮮のミサイルとよく似ている」と述べました。

インターネット上で公開されている北朝鮮の武器の情報と照らし合わせると「ミサイルのノズルと後部が北朝鮮のものと非常に似ている」としています。

北朝鮮のミサイルを巡っては、アメリカ・ホワイトハウスの高官が4日、ロシアが北朝鮮から弾道ミサイルの供与を受け、12月30日と1月2日に相次いで発射したとみられると明らかにしています。

ウクライナ国内 徴兵逃れが社会問題に

ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、総動員令が出され、18歳から60歳の男性は、原則、出国が禁じられています。

これまで多くの人が動員されていますが、軍事侵攻が長期化する中、ウクライナ国内では、実際に徴集される人とそうでない人との間の不公平感が広がっています。

首都キーウの広場などでは、夫が戦地にいる妻たちが政府に対する抗議活動を行い、一定の期間がたてば夫を返すよう訴えるとともに、兵役の義務を果たしているのは一部の人に限られていると批判しました。

こうした中で追加の動員をめぐる議論も進んでいて、ウクライナ政府は、徴兵の対象年齢を現在の27歳から25歳に引き下げるなどしてより多くの人を動員できるよう関連する法案を議会に提出しています。

ゼレンスキー大統領は、1月1日付けのイギリスの経済誌「エコノミスト」のインタビュー記事の中で、追加の動員について「前線に行く兵士だけではなく私たち全員の問題だ。国を守り占領された土地を解放する唯一の方法だ」と述べ必要性を強調しました。

また、12月19日に開いた会見では「軍は、45万人から50万人の追加の動員が必要だと要求している」と述べました。

この発言についてウクライナ軍のザルジニー総司令官は、軍は具体的な数字は出していないと否定したものの「われわれは資源を必要としている。武器であり弾薬でありそして人々だ」と述べ追加動員の必要性を訴えました。

ウクライナ国内では、戦闘には参加したくないと徴兵を担当する当局の関係者に賄賂を贈るといった汚職も後を絶たず、徴兵逃れが社会問題ともなっています。

ロシア軍 北朝鮮のミサイル使用か

ウクライナ東部ドネツク州では6日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、地元の知事によりますと、子ども5人を含む11人が死亡し、8人がけがをしました。ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の地対空ミサイルシステムS300が使用されたとしたうえで非難しました。

一方、ロイター通信は、今月2日、ウクライナ第2の都市東部ハルキウへの攻撃でロシア軍が使用したミサイルについて、残骸の映像を分析した結果、北朝鮮の弾道ミサイルが使われたとする複数の専門家の見方を伝えています。

このうちオランダの専門家は「ケーブルの配線やボルト、エンジンなど非常に細かい部分まで、北朝鮮のミサイルとほぼ完全に一致している」などと指摘しています。

また、別のアメリカの専門家も北朝鮮の短距離弾道ミサイルと酷似していると指摘しています。

北朝鮮のミサイルを巡っては、アメリカ・ホワイトハウスの高官が今月4日、ロシアが北朝鮮から弾道ミサイルの供与を受け、先月30日にも発射したとみられるとしています。

ロシア軍は、このところ北朝鮮のミサイルを相次いで使用している可能性が出ていて、両国の軍事協力について懸念の声が高まっています。

ロシア大統領府 “プーチン大統領が兵士の遺族と面会”

ロシア大統領府は、プーチン大統領がロシア正教でクリスマスイブにあたる6日夜、ウクライナへの軍事侵攻で死亡した兵士の遺族をモスクワ郊外の公邸に招き、面会したと発表しました。

この中でプーチン大統領は「多くの勇敢で英雄的なロシアの兵士たちは、今も武器を手にとってわれわれの国の利益を守っている」と述べ、兵士をたたえました。

そのうえで「われわれの会合が、ロシア全体への明確なメッセージになってほしい。あなたたちが必要としているときには常に支援が行われるということだ」と述べ、死亡した兵士の遺族を支援する姿勢を強調しました。

ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、プーチン大統領としては、兵士や遺族に寄り添う姿勢を国民に示したいねらいもあるとみられます。