志賀町の「福祉避難所」 被災で8か所のうち7か所 開設できず

災害が起きた時、支援や配慮が必要なお年寄りや障害者のための「福祉避難所」。受け入れる施設が被災し、開設が難しい現状が見えてきました。
今月1日の地震で震度7の揺れを観測した志賀町では、町と協定を結んでいる8か所のうち、建物や設備の被害などにより、7か所で福祉避難所の開設ができていないことがNHKの取材で分かりました。

「福祉避難所」は災害が起きた時、通常の避難所では健康管理が難しい、お年寄りや障害者など、いわゆる災害弱者を受け入れる施設です。

NHKは今月1日の地震で震度7の揺れを観測した志賀町で、町と福祉避難所の設置について協定を締結している8つの高齢者施設に開設状況を聞きました。

その結果、7つの施設では福祉避難所を開設できていないことが分かりました。

施設が被災し、もともとの利用者に加えての追加の受け入れが難しかったり、被害が大きく、施設の運営自体を停止していたりすることが主な理由です。

このうち、「デイサービスセンターアイリス」は2階の天井が抜け、建材がむき出しの状態になり、今にも崩れ落ちて来そうな状況です。

また、同じ敷地内の「特別養護老人ホームアイリス」も屋根瓦がめくれて崩れ落ちているほか、暖房がつかない状態のため、利用者は別の施設に移ったということです。

一方、町内で唯一、福祉避難所を開設した「あやめケアセンター」は断水はしているものの暖房はついていて、高齢者や障害者とその家族、合わせて23人が避難しているということです。

この施設にはもともとの利用者25人に加え、ほかの施設の利用者が移ってきていて、これ以上の受け入れができず、これまでに8人を断らざるをえなかったということです。

施設では断水が続く中、周辺の住民が水を運んでくれるなどしていて、運営を続けられているということですが、水を使わずに済む使い捨ての紙コップや箸などが不足しているということです。

施設を運営する麗心会の藤田隆司理事長は「想定よりも多くの人が避難してきている。配慮が必要だということで受け入れた方でも、ふだんの生活をしてもらうことができず、心苦しい。職員の家も被災し、施設の職員室で寝泊まりしている状態の者もいて、職員たちの疲れもピークに達している」と話していました。