石川 穴水町の障害者施設 “職員不足で基本的支援も難しい”

石川県穴水町にある知的障害者などが暮らす入所施設では、地震によって建物の天井がはがれ落ちるなどの被害が出ていて、利用者たちが施設内の体育館での避難生活を余儀なくされるなど、厳しい状況が続いています。

穴水町にある障害者の入所施設「石川県精育園」では、重度の知的障害者など合わせて111人が暮らしています。

地震によって建物の天井がはがれ落ちたり、壁がひび割れたりしていて、現在は多くの居室を使うことができず、半数以上の利用者が施設内の体育館などでの避難生活を余儀なくされているということです。

また、水や食料などの支援物資は避難所などで受け取っているということですが、土砂崩れなどの影響で、交通状況によっては、車で片道2時間程度かかるといいます。

さらに深刻なのは支援にあたる職員の不足です。

ふだんは、およそ40人余りの職員が勤務をしていますが、地震で多くの職員が被災したことから、現在は20人ほどしか支援にあたれていない状態です。

利用者の中には障害の特性で環境の変化に敏感な人もいて、環境や支援する人が変わることで、気持ちが不安定になってしまう人も少なくなく、大声をあげたり、施設を飛び出してしまう人もいるということです。

施設では当面、体育館などを使って避難生活を続けることにしていますが、余震も繰り返し起きている中、このまま施設内で暮らし続けてよいのか不安を感じているといいます。

施設の統括責任者を務める田中こず恵さんは「利用者の中には気持ちが不安定になり、トイレではない場所で排せつをしてしまう人もいますが、断水が続いて生活に使える水も限られるため、体を清潔に保つなどの基本的な支援も難しい状況です。建物の被害も大きいので、このまま利用し続けて安全なのかすら、わかりません。ただ、重度の障害者の場合、特性にあった支援が必要なため、一般的な避難所を利用することもできず、別の施設も定員がいっぱいで、一時的に移動をしてもらうことも困難です。いまはとにかく、支援にあたることができる人手が必要です」と話していました。