【解説動画】災害時に大切な口のケア 注意すべきことは

地震の影響で断水している地域では、口の中を歯磨きなどで清潔に保つ口腔ケアがおろそかになりやすく、繁殖した細菌が誤って肺に入ることで起こる「誤えん性肺炎」のリスクが高まります。

日本赤十字社東京都支部の看護師 山口玲子さんに、水が不足した環境でも行える口くうケアの方法を聞きました。

【動画:7分49秒】(データ放送ではご覧になれません)

水不足でもできる口くうケア

【1. 歯ブラシ・水も少しある場合】
コップを2つ用意し、それぞれ水を入れます。
片方のコップの水で歯ブラシをぬらし、歯を磨きます。

歯磨き粉がある場合は、少量にとどめます。

磨いてる途中で歯ブラシが汚れたら、ティッシュなどで拭き取ります。

磨き終えたら、コップの水に歯ブラシを入れ汚れを落とします。

口をゆすぐときは、もう片方のコップの水を使います。

一気に口に含まず、少量で2、3回に分けてゆすぐほうが効果的だということです。

歯磨きをする時は、水でぬらしたティッシュペーパーで軽く唇を拭き、口の周りも清潔に保つことが大切です。

【2. 水がほとんどない場合】
アルコール成分を含まないウエットティッシュか、水でぬらしたハンカチやティッシュペーパーで、歯や口の中の汚れを拭き取ります。

【3. 水がまったくない場合】
ウェットティッシュもないときは、だ液を利用します。
だ液には抗菌作用があるということです。

だ液が出にくい場合は、奥歯の横のあたりや、前あごの下をマッサージすると出やすくなるということです。

【入れ歯も1日1回はケアを】
入れ歯を使っている人は、1日1回は取り外し、水やウエットティッシュで拭いて清潔を保つようにします。

誤えん性肺炎に要注意

山口さんによりますと、口の中が清潔に保たれないと、「誤えん性肺炎」のリスクが高まるということです。

「誤えん性肺炎」は、食道に運ぶ食べ物や、だ液が、誤って気管に入り込み、細菌が肺で繁殖して炎症を起こす病気です。

口の中が不衛生なまま飲食すると、飲み込む際に、多くの細菌も一緒に運ばれることになります。

特に高齢者は、食道に運ぶ力が低下するため気管に入りやすく、注意が必要だということです。

山口さんは「口腔ケアの大切さを知ってもらうことが、災害関連死を防ぐことにもつながる。高齢者は免疫力も低下しやすいので、特に意識してケアをしてほしい」と話しています。