【6日詳細】ガザ地区地上作戦と空爆続く 打開の兆し見えず

イスラエルやパレスチナに関する日本時間1月6日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍はガザ地区への地上作戦と空爆を続け、ガザ地区の保健当局は過去24時間で162人が死亡したとしています。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから7日で3か月となりますが、事態打開の兆しは見えないままです。

衝突が開始から7日で3か月 事態打開の兆し見えず

イスラエルとイスラム組織ハマスによる一連の衝突が始まってから、あす、7日で3か月となります。

ガザ地区では6日にかけても、多くの避難者が身を寄せる南部を含む各地でイスラエル軍の攻勢が続き、多数の死傷者が出ているもようで、事態打開の兆しは見えないままです。

ガザ地区ではイスラエル軍の攻勢が続き、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、6日にかけて南部ハンユニスで空爆によって18人が死亡したほか、中部にある難民キャンプなども激しい攻撃にさらされ、多数の死傷者が出ていると伝えています。

犠牲者の数はこのところ連日100人を超えていて、ガザ地区の保健当局によりますと、死亡した人はこれまでに2万2600人にのぼっています。

一連の衝突が始まってから7日で3か月となりますが、人口がおよそ220万人とされるガザ地区全体のおよそ100人に1人が犠牲になったことになり、事態打開の兆しは見えないままです。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官は11日にかけて、パレスチナのヨルダン川西岸のほか、イスラエルなどを訪問し、ガザ地区での民間人の犠牲を最小限に抑えるため、軍事作戦をより小規模に移行することなどをめぐってイスラエルの政府要人と意見を交わすことにしています。

これについて、ハマスのハニーヤ最高幹部は5日、「ブリンケン国務長官が過去3か月の教訓から学び、占領を支援するワシントンの過ちに気づくことを願っている。今回の訪問では侵略をやめさせることに集中してもらいたい」などと訴えました。

ガザ地区 過去24時間で162人死亡 死者は2万2600人に

イスラエル軍はガザ地区への地上作戦と空爆を続け、5日、ハマスの作戦指揮所や武器庫など100以上の標的を攻撃し、南部のハンユニスで多数の戦闘員を殺害したと発表しました。

また、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、ハンユニスのほか、中部でも激しい攻撃が行われたと伝えていて、ガザ地区の保健当局は5日、過去24時間にイスラエル軍の攻撃で162人が死亡し、これまでの死者は2万2600人に上るとしています。

イスラエル軍とハマスの衝突 報道関係者の死者77人に

報道の自由を守る活動をしている国際的なNPOのCPJ=ジャーナリスト保護委員会は、去年10月7日に始まったイスラエル軍とイスラム組織ハマスの衝突に関連して、これまでに死亡した報道関係者は少なくとも77人に上っていると発表しました。

CPJが今月5日の時点でまとめたところによりますと、死亡した報道関係者の内訳は、▼パレスチナ人70人、▼イスラエル人4人、▼レバノン人3人だということです。

また、▼16人がけがをしたほか、▼3人が行方不明で、▼21人が拘束されているとしています。

CPJはイスラエル軍がジャーナリストとその家族を標的にしていると非難した上で、「ジャーナリストが殺されるたびに、戦争を記録することも、理解することも難しくなっている」として、強い危機感を示しています。

ガザ地区で医療施設への攻撃600回 610人が死亡 WHO

WHO=世界保健機関は5日、ガザ地区でこれまでに病院などの医療施設が600回近く攻撃されたと明らかにしました。

WHOの5日の発表によりますと、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が始まった去年10月7日以降、ガザ地区では医療施設への攻撃でおよそ610人が死亡したほか、770人以上がけがをしたということです。

また、ガザ地区にある36の病院のうち、7割以上にあたる26の病院が攻撃で被害を受けたとしていて、WHOのリンドマイヤー報道官は「医療への継続的な攻撃などによって、ガザの人々は限界まで追い詰められている」と非難しています。

一方、ユニセフ=国連児童基金は、ガザ地区では下痢の症状を訴える5歳未満の子どもが、12月中旬から下旬にかけて1日3200人のペースで増え、7万人を超えたと5日、明らかにしました。

多くの人が家を追われ、インフラが各地で破壊される中、安全な水が手に入りづらく、トイレが不足するなど、衛生環境が悪化する一方で、機能している数少ない病院はけが人の対応に追われ、感染症の広がりには十分に対応できていないとしています。

また、子どもたちは深刻な栄養失調にも直面していて、ユニセフはこうした状態が放置されれば、死のリスクを高めることになると警鐘を鳴らしています。

ユニセフのラッセル事務局長は「ガザの子どもたちは日増しにひどくなる悪夢に苦しんでいる。世界は傍観していてはいけない。子どもたちの苦しみを終わらせなければならない」として、一刻も早い停戦を訴えました。

OCHA「ガザは死と絶望の場所となった」

イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が始まって3か月となるのを前に、OCHA=国連人道問題調整事務所のトップを務めるマーティン・グリフィス国連事務次長は5日、声明を発表しました。

この中でグリフィス氏は「10月7日の恐ろしい攻撃から3か月、ガザは死と絶望の場所となった。女性や子どもなど数万人が死傷している。市民が安全のために身を寄せるよう言われた場所が攻撃を受けている」と、イスラエル軍による攻撃を非難しました。

そして、「医療施設は容赦ない攻撃を受け、部分的に機能している数少ない病院はけが人であふれている。すべての物資が決定的に不足し、安全を求める人々が殺到している」とガザ地区が危機的な状況にあると訴えました。

そのうえで、「今こそ当事者は国際法のもと、民間人を保護して必要不可欠なニーズを満たし、直ちに人質全員を解放するというすべての義務を果たす時だ。この戦争は決して始まるべきではなかった。しかし、終結すべき時はとうに過ぎている」と述べ、国際社会が一体となって当事者に働きかけるよう求めました。

イスラエル軍 隣国レバノンへの空爆も

イスラエル軍は隣国レバノンへの攻撃も繰り返していて、2日に首都ベイルートに滞在していたハマスの政治部門の幹部などあわせて7人を殺害したほか、5日には南部に拠点を置くイスラム教シーア派組織ヒズボラの軍事拠点などに対して空爆を行ったとしています。

一方、ヒズボラの最高指導者、ナスララ師は5日、テレビ演説し、「ベイルートで起きたハマス幹部の殺害に対して必ず報復する。いつ行われるかの問題だけだ」などと述べて、イスラエルを強くけん制しました。

こうしたなか、IOM=国際移住機関は、レバノン南部では今月2日の時点で、およそ7万6000人が住まいを追われたとしています。イスラエル軍がガザ地区に加え、隣国レバノンへの攻撃も強めていることで、地域の緊張がさらに高まることや人道状況の悪化が懸念されます。

ガザ地区への病院攻撃続く 生後5日の赤ちゃんも犠牲に

ガザ地区にイスラエル軍が激しい攻撃を続ける中、南部ハンユニスでは、パレスチナ赤新月社が運営し、多くの避難者が身を寄せるアマル病院やその周辺が攻撃を受け、死傷者が出ています。

パレスチナ赤新月社は4日、アマル病院が入る複合施設を目標とする攻撃が3日間続き、生後5日の赤ちゃんを含む7人の避難者が死亡したほか、11人がけがをしたと発表しています。さらに、5日には「アマル病院近くでの砲撃が再開され、イスラエル軍の無人機からの攻撃が続いている」と明らかにしています。

こうした中、IFRC=国際赤十字・赤新月社連盟は5日、「ハンユニスにあるアマル病院とパレスチナ赤新月社の本部への継続的な攻撃にがく然としている」と攻撃を非難しました。その上で、「継続的な攻撃や燃料や物資の深刻な不足で、病院は限界に達している。いかなる紛争や危機でも医療へのアクセスは生死に関わる問題だ」として、すべての当事者に対し、民間人や医療従事者、それに医療施設の保護を求めています。

ガザ地区 救急隊員が新生児囲み笑顔 出産めぐる状況厳しい中で

パレスチナ赤新月社はガザ地区の中部デルバラハで、救急隊員がうまれたばかりの赤ちゃんを抱いたり、様子を見たりして、笑顔を見せている動画を5日、SNSに投稿しました。この女の子はデルバラハの救急センターでうまれたということです。

一方、人道状況の悪化が続く中、ガザ地区での出産や女性をめぐる状況は厳しいものとなっています。

UNFPA=国連人口基金が先月11日に発表したまとめによりますと、ガザ地区では今月上旬にかけて1日およそ180人の女性が出産を予定しているということです。しかし、ガザ地区では医療施設への攻撃が相次ぎ、燃料や医療物資が不足していて、UNFPAは妊娠中の女性や新生児の死のリスクが高まっていると指摘しています。

さらに、ガザ地区内では69万人以上の女性が生理用品を必要としているということです。ガザ地区では清潔な水が不足していて、こうした状況に加えて生理用品が手に入らないことで感染症のリスクが高まっているとしています。

UNFPAは「ガザでの戦争はガザの人々全員に深刻な影響を与えている」として、一刻も早い停戦を訴えています。