能登町や穴水町で医療支援の医師「医療従事者の人手足りず」

全日本病院協会の医療支援チームとして、石川県能登町や穴水町で支援にあたった医師がNHKの取材に応じ、現地では感染症の症状を訴える人が出始めている中、わずかな数の医療従事者しか対応にあたれていないとして、幅広い支援を訴えました。

日本医科大学付属病院高度救命救急センターの部長をつとめる横堀將司医師は今月2日から4日かけて、全日本病院医療支援班=AMATの第1陣のメンバーとして石川県の被災地に入り、医療支援を行いました。

横堀医師によりますと、支援に訪れた石川県能登町の小木中学校には700人を超える人が避難していたほか、周辺の施設にはさらに3000人以上が避難していたということですが、地域の開業医1人で、病気の人や高齢者の対応にあたっていたということです。

携帯電話やインターネットもつながりにくく、水や食料も不足する中、発熱や下痢といった感染症が疑われる症状を訴える人が増えているということで、横堀医師は「感染症の予防が大切だが、手を洗う水も無い状況だった。一刻も早く、清潔な水を配布できる環境を作ってほしい」と訴えました。

また、避難所には技能実習生のベトナム人やインドネシア人も100人ほどいて、横堀医師が訪れた際に受診した人もいましたが、日本語や英語での意思の疎通が難しく、医療ニーズの把握に苦労したということです。

このほか、穴水町では1人の医師が合わせて3つの障害者支援施設や高齢者施設のおよそ400人の対応をしていたということです。

また、持病のある人に処方される薬なども不足しているということで、横堀医師は「全体的に医療従事者の人手が足りないことは明らかで、頭の下がる思いだ。避難所はもちろん、福祉施設でも支援が行き届いていないところが多数あり、医療者だけでなく、介護者やボランティア、通訳まで含め、中長期的に多面的な支援が必要だ」と話していました。