“川の水が“きゅー”と引いた”富山沿岸で津波を見た人が証言

地震の発生から5日目となった5日、富山県の沿岸部にいた人たちの証言から当時の津波の状況が分かってきました。

震度5強を観測した富山県射水市の漁師、東海勝久さん(48)は今月1日、午後4時すぎ、海から100メートルほどの射水市本町の会社で仕事の準備をしていたところ、激しい揺れを感じました。

川の水が海に向かって引いていく異様な光景の後、川が波立ち始めたと言います。

東海さんは「川の水位が“きゅー”とひいていき、川の底にひかれている板が見えた。漁師の先輩から『水がひいた時が危ない』と聞いていたので、これは本当に津波がくると思った」と話しました。

危険を感じた東海さんは姉と近所の子どもを車に乗せ、すぐに1キロほど離れた観光施設の2階に避難しました。

午後4時38分ごろ、東海さんが避難した施設の2階から撮影した動画には、川をさかのぼって逆流した水が道路にあふれ、係留された船が波で揺れる様子が写っていました。

東海さんは「泥水が川を上がってくるのを見て『本当に震災が来た。まずい。どうしよう』と思った。もっと安全な場所まで逃げたかったけど、ここまで逃げてくるのに精いっぱいだった」と話していました。

東海さんは「一緒に避難していた子どもたちが泣いていたので、『大丈夫だよ』と落ち着いて声をかけ続けたつもりだったけど、やっぱり慌てていた。冷静に避難するのは難しかった」としたうえで、「自分が住む地域は海抜が低く、今回の倍の高さの津波が来たら車で逃げても流されてしまう。高いところに逃げないといけないと改めて学んだ。命を守るために一人一人ができる準備を事前に考えておくことが大事だと思う」と話していました。