能登半島地震 広範囲で液状化現象 長い揺れと砂地地盤が要因か

能登半島地震では、各地で液状化の現象が確認されていますが、専門家が航空写真などから分析したところ、新潟県から福井県にかけての広い範囲に及び、これまで液状化があまり確認されていない震度4程度の揺れでも起きていたことがわかりました。
専門家は強い揺れが長く続いた上、液状化しやすい砂地の地盤が広がっていたことが要因とみています。

地盤災害に詳しい防災科学技術研究所の先名重樹主任専門研究員は、地盤が揺さぶられることで地下水と泥や砂が噴き出す「液状化」の現象が、今回の地震でどの範囲で起きたか現地調査に加え、航空写真や衛星写真で分析しています。

その結果、液状化が確認された範囲は新潟県、富山県、石川県、福井県にかけての広い範囲に及んでいました。

一般に、液状化は震度5程度以上で発生し、震度4程度ではこれまであまり確認されていませんでしたが、今回の地震ではこうした地域でも起きていたということです。

このうち震度4の揺れを観測した富山県魚津市では、港周辺の駐車場の複数箇所で砂が混じった水が噴き出した痕跡が確認されました。

先名研究員は▽地震の規模が大きく揺れが続いたのは1分程度と熊本地震と比べても長かったことや、▽北陸や新潟県の沿岸部に液状化しやすい地下水位が高い砂地の地盤が広がっていたことなどが要因とみて、さらに分析を進めることにしています。

先名研究員は「今回は震度4でも発生していて驚いている。関東でも沿岸部や川沿いの低地では液状化しやすい地域も多い。液状化してから対応するのは難しく、住もうとしている場所のリスクを確認し、リスクがある場合は地盤改良などの対策を検討してほしい」と話していました。

どのような場所で液状化が起こりやすいかは多くの自治体が予測マップを公表していて、首都圏の1都3県では、沿岸部の埋め立て地や川沿いの低地を中心に被害が予測されています。

このうち、▽東京都では東部の荒川や隅田川沿い、それに東京湾岸の埋め立て地などで液状化の可能性が高いと予測されています。

都は、首都直下地震が起きた場合、液状化で家が傾くなどして最大で
▼1549棟の建物が全壊、
▼9438棟の建物が半壊する被害が出ると想定しています。

また、
▽神奈川県では横浜市や川崎市の沿岸、
▽埼玉県では東部の荒川沿い、
▽千葉県では東京湾岸の埋め立て地や江戸川沿いの低地などで、液状化の可能性が高いと予測されています。

各都県では、ホームページや行政の窓口などにある予測マップで自分の住む地域のリスクを確認し、備えを進めるきっかけにしてほしいと話しています。