輪島や珠洲へのガソリン輸送再開 数日以内に行列解消か

能登半島地震への対応で齋藤経済産業大臣が記者会見し、燃料が特に不足している輪島市や珠洲市への大型車両の通行が可能となったため、5日朝からガソリンなどの輸送を再開したと明らかにしました。そのうえで輸送が軌道に乗れば、数日以内にはガソリンスタンドの行列などが解消されるという見通しを示しました。

齋藤大臣は5日の記者会見で、午前7時の時点で石川県で被害が大きい能登地域の北部にある6つの市と町にあるガソリンスタンドのうち、3割余りにあたる23か所で営業の再開が確認されていることを明らかにしました。

さらにこれまで特に燃料が不足していた輪島市や珠洲市については、現地に輸送するための道路で大型車両の通行が可能になったとしたとして、5日朝から大型タンクローリーによるガソリンなどの燃料の輸送を再開したということです。

そのうえで、「北部の6市町のガソリンスタンドでは緊急車両に給油を限定しているところがあり、一部で行列が発生する事態になっている。輸送が軌道に乗れば、供給による在庫が増加して一般車への給油が再開され、行列なども数日後には解消されるのではないかと見込んでいる」と述べました。

また、製造業のサプライチェーンへの影響については、これまでに現地に工場や拠点などがある自動車部品メーカーや半導体メーカーなど200社近くから情報を集めていると説明しました。

そのうえで齋藤大臣は、「このうち8割超の企業がすでに生産を再開するか生産のめどが立っているが、残りの2割は、被害の詳細を確認しているか復旧に向けた準備を進めている段階にある。引き続きサプライチェーンへの影響の把握に努めるとともに、対策に万全を期していきたい」と述べました。

ガソリンや灯油など供給不足続く

地震の影響で石川県の能登地域ではガソリンや灯油などの供給不足が続いています。
一方で、営業を再開するガソリンスタンドが徐々に増えているほか、ガソリンの輸送ができなかった地域でも道路の復旧に伴い輸送を再開する動きも出ています。

経済産業省によりますと、5日午前7時の時点で輪島市や珠洲市など能登地方の6つの市と町にあるガソリンスタンドのうち、3割余りにあたる23か所が営業しているということです。

4日の15か所より8か所増えた一方、ガソリンの在庫不足を受けて、緊急車両に給油を限定しているガソリンスタンドもあり、一部の店では行列が発生しているということです。

また、これまで大型車両が通行できず、ガソリンなどの輸送が滞っていた輪島市や珠洲市でも道路の復旧が進み、5日朝から大型タンクローリーによるガソリンなどの輸送が再開されました。

経済産業省は、大型タンクローリーによる輸送が軌道に乗れば、数日以内にガソリンスタンドの行列などが解消される見通しだとしています。

ただ、余震や天候の影響で道路状況が悪化した場合には、輸送に影響が出る可能性もあり、経済産業省は今後の状況を踏まえながら対応を検討することにしています。

ENEOS “営業しているガソリンスタンドの情報を公開したい”

ENEOSの宮田副社長は5日午後、都内で記者団の取材に応じました。

会社側によりますと、能登半島地震で大きな被害が出ている石川県輪島市、珠洲市、それに能登町には系列のガソリンスタンドが17店舗あり、このうち11店舗では、在庫を活用しながら営業を続けているということです。

宮田副社長は今後のガソリンや灯油などの燃料供給の見通しについて、「渋滞がひどく、被災地に向かっている大型のタンクローリーがどのタイミングで、どこまで行けるかはまだ分からないが、最大限、供給できるように進めている。できるだけ早いタイミングで、必要な分だけ届けられるように努力したい」と述べました。

そのうえで、「自社だけではなく、石油連盟として他社とも連携して、どこのサービスステーションに行けば燃料供給が受けられるか、ホームページなどで公開する必要があると考えている」として、営業しているガソリンスタンドの情報を公開したいという考えを示しました。

岩谷産業 カセットこんろやボンベなど供給支援

今回の能登半島地震を受けて、大阪に本社があり、LPガスなどを販売する「岩谷産業」は、カセットこんろやボンベなどを被災した自治体に供給する支援を始めています。

5日に行われた関西経済連合会の年頭会見では、企業各社の被災地支援の取り組みが明らかになりました。

このうち「岩谷産業」は石川県輪島市や珠洲市など被災地の自治体から要請を受け、
▽カセットこんろを1万台、
▽そのこんろに使うガスボンベを15万本供給するということです。

関西経済連合会の副会長を務める「岩谷産業」の牧野明次会長は、5日の会見で「災害時に期待されているカセットこんろやボンベをすでに中継地点まで運び込んでいる。一部は輪島市に到着している」と述べました。

今後、水とともに、支援物資を被災した各自治体に順次、運ぶ予定だということです。