【5日】石川県で孤立状態の地域は…ヘリで救助された人も

地震発生から4日たちましたが、石川県では今も各地で孤立状態が続いています。
一方、ヘリコプターで救助されたという人も。

石川県によりますと、5日午後3時現在、能登地方の4つの市と町の23の地区で孤立状態になっているということです。

道路が通れなくなるなどして孤立状態になっているのは、次の地域です。

珠洲市
高屋町でおよそ90人、宝立町大町泥木でおよそ15人が孤立状態になっています。

また真浦町の8人は自衛隊による救出活動が行われています。

能登町
北河内地区でおよそ20人、桐畑地区でおよそ9人、田代地区でおよそ7人、水滝地区でおよそ5人が孤立状態になっています。

十郎原地区も孤立状態になっていますが、人数など詳しい状況は確認中となっています。

穴水町
麦ケ浦地区でおよそ20人が孤立状態になっています。

輪島市
14の地区が孤立状態になっていて、人数など詳しい状況は確認中となっています。

孤立状態になっているのは
大屋地区河原田地区鵠巣地区町野地区南志見地区三井地区西保地区仁岸地区小山地区諸岡地区小石地区本郷地区浦上地区七浦地区です。

石川県によりますと、5日午後3時現在、能登地方の4つの市と町の23の地区で、少なくとも170人余りが孤立状態になっているということです。

NHKにも孤立の情報寄せられる(5日午後8時までの情報)

NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」と「スクープBOX」には、石川県の輪島市や珠洲市、それに能登町などで孤立状態になっているという情報が複数寄せられています。

5日午後8時までにNHKが新たに確認した情報は以下のとおりです。

【輪島市】
西二又町、上山町、空熊町飛垣地、赤崎町、鵜入町

西二又町については、道路が寸断されて孤立しているという情報が複数、寄せられています。

このほか、4日午後7時までにNHKが確認した情報は以下のとおりです。

その後、孤立が解消している地域が含まれている可能性があります。

【輪島市】
町野町広江、町野町寺山、長井町、深見町一乗地区、門前町七浦地区、門前町皆月地区、白米町、空熊町前田、空熊町別所、滝又町、別所谷町、稲屋町、小池町、

【珠洲市】
川浦町、笹波町

【能登町】
小間生地区、十郎原地区

輪島市西二又町 徒歩で避難した男性も

「ニュースポスト」には、孤立状態にある集落から徒歩で避難した男性から投稿が寄せられました。

多胡裕貴さん(28)は、年末年始を利用して、両親とともに輪島市西二又町にある祖母のもとを訪れている時に被災しました。

車で集落の外に避難しようとしましたが西二又町につながる道路は地震によるひび割れや倒木で通れなくなっており4日までは、車の中で寝泊まりして過ごしたということです。

そして、4日午後、集落に残され人のうち多胡さんを含む体力のある4人が徒歩で避難を開始し、倒木をよけたり、舗装されていない場所を歩いたりして1時間ほどかけて車が通ることのできる道まで出たということです。

多胡さんが途中で撮影した写真には、道路に大きなひび割れが走っていたり、道路が倒木で完全にふさがれていたりする様子が写っています。

西二又町には、4日午後の時点で50人ほどの人が孤立した状態で取り残されていて電気や水道が止まり、携帯電話も圏外の状態が続いているということです。

中には、人工透析が必要な人や生後半年ほどの乳幼児もいるということで、多胡さんは「余震もあり天気も悪くなっており土砂災害のおそれがあるのではという不安がぬぐえなかった。夜はとにかく不安で、車の中で過ごしていたがあまり寝られなかった。食料は1週間程度はもつと思うが、両親は薬を飲んでおり足りなくならないか不安だ。とにかく意思疎通できる通信手段がほしいし、高齢者もいるので救出してほしい」と話していました。

また、娘の家族5人が西二又町にいるという女性は「娘の夫が山を歩いて下りて電波が届く場所から電話をくれたので、無事は確認できました。家は揺れが心配なので近くのコンテナの中で過ごしていると聞きました。集落に車が入れない状態が続いているということで、心配しています」と話していました。

また妹が西二又町にいるという別の女性は「妹の夫が自力で山を下りて、けさ再び、友人などと家族を迎えに戻ったと聞いています。道路は通れず、車では移動ができないようです。妹の家族を含めて40人ほどがいるようで、中には高齢者や赤ちゃんもいて心配しています」と話していました。

輪島市鵜入町 県が発表していない地区も孤立状態

県が発表している地区以外でも住民が孤立状態になっていると訴える地区があります。

宮下和司さんと葉子さん夫妻が住む輪島市鵜入町は日本海側に面する町で、5日午後1時現在で石川県が発表した孤立状態になっている集落には含まれていません。

しかし、夫妻によりますと、自宅のある地区も道路が寸断され、孤立している状態だといいます。

自宅では、ガスは使えますが、停電していて、水もにごっていて使えない上、携帯電話も通じない状態だということです。こうした状況のなか、夫妻は、物資を調達するためきょう、市内の中心部に近い水守町にある実家を目指して、自宅を出ました。車で走行できるところまで進んだあとは、徒歩で崖などを降りて1時間近く歩いてきたといいます。

葉子さんは「死んでもおかしくないと思いながら、やって来ました」と涙ながらに話していました。

宮下さんによりますと、自宅周辺の地域では実家に帰省していた人も含め、60人ほどが取り残されているということです。

携帯電話もインターネットも使えない中、宮下さん夫妻は、今、とにかく欲しいのは「情報」だと繰り返し強調しました。

宮下さんは「通信が途絶えているので余震が起きても震度すら分からない状態です。鵜入町の自宅は、海のすぐそばですが津波の危険性もわかりません。津波が来たらすぐ逃げられるよう、ほとんど車の中で生活しています。何よりも情報がほしいです」と訴えていました。

輪島市白米町 孤立状態だった道の駅からヘリで救助

周辺の道路が寸断され孤立状態にあった石川県輪島市白米町にある道の駅「千枚田ポケットパーク」から5日救助された兵吾桃花さんは、6歳の娘と2歳の息子を連れて珠洲市から輪島市に向かっている途中に被災しました。

兵吾さんによりますと、地震が起きた直後、道の駅には79人が取り残されていて、兵吾さんたちは4日間にわたって駐車場や車の中で過ごしたということです。

救助は3日から始まり、透析を受けている人やリウマチの薬が切れた人など持病がある人が優先され、動画には救助に訪れた隊員がヘリから降りてくる様子が写されています。

兵吾さんの娘や息子のほかにも1歳の女の子など9人ほどの小さな子どもがいて、おむつを融通し合うなどして生活していたということで、子どもたちの気を紛らわせようと若い男性たちがボール遊びをして過ごしていたといいます。

そして、5日午前10時半ごろ、兵吾さんたちは珠洲市の中学校の避難所までヘリで運ばれて、助かったということです。

兵吾さんは「取り残された皆さんが子どもの面倒をみてくれて本当に支えられました。全員が大変な時なのに人ってこんなに温かいのかと感じました。厳しい状況と不安の中で本当に救われました」と話していました。

輪島市上山町に母親がいるという女性は「母とは今も全く連絡が取れない状態が続いていますが、自力で山を下りた同じ集落の方から、無事だと聞いています。道路は寸断されていて車やバイクも通るのが難しく、ライフラインは途絶えていて、集落の中の湧き水を利用しているようです。早く連絡が取れて、安心して過ごせるところに移ってほしいです」と話していました。

輪島市空熊町飛垣地に親族が暮らしているという女性は「集落につながる道は土砂崩れなどで通れなくなっています。おじが、半日かけて電波が届くところまで出てきて5日にようやく連絡がつきました。周囲の道の被災状況がひどく、地域の人たちが閉じ込められている状況です」と話していました。

輪島市赤崎町に帰省していた兄夫婦が被災したという女性は「道路が寸断されているため、集落から出られない状況になっているということです。もともと学校だった場所に避難しているということですが、発電機のガソリンが底をつきそうだということで、連絡がとれなくなるかもしれず心配です」と話していました。

珠洲市 自衛隊が孤立地区を徒歩で状況確認

石川県珠洲市では、今回の地震で孤立状態となった地区に自衛隊員が徒歩で向かい、状況の確認を進めています。珠洲市では各地で道路が寸断し、県によりますと少なくとも12の地区の775人が孤立状態となっています。

このうち市内を南北に通る県道52号線は、東山中町から折戸町に向かう区間で倒れた木が道路を完全にふさいでいました。

自衛隊は5日、徒歩で折戸町に向かい、公民館など2つの避難所にあわせて150人ほどが身を寄せていることを確認したということです。

支援物資は届いておらず、住民たちは自宅から持ち寄った食材で炊き出しを行っているほか、燃料を集めて暖をとっているということです。

確認にあたった隊員は「住民は疲れがたまっているように見えた。現状を踏まえて対応したい」と話していました。

珠洲市 孤立解消に向け工事急ぐ

石川県珠洲市内では寸断された道路を車で通れるようにするための応急作業が進められています。

このうち珠洲市の中心部と孤立状態にある大谷町をつなぐ国道249号線については、自衛隊がう回路も整備しながら工事を急いでいるということです。

また、市内の中心部と孤立状態にある折戸町をつなぐ県道52号線についても作業が進められているということです。

一方、看護師や保健師などでつくるチームがケアの必要な高齢者を中心に健康状態の確認を行う巡回が始まったということです。