【被害状況 5日】石川県で94人死亡 このうち輪島市で55人死亡

石川県などによりますと、5日午後2時の時点で、県内であわせて94人の死亡が確認されたということです。また、石川県は住民基本台帳をもとに5日午後2時の時点で安否が分かっていない人として、穴水町、輪島市、珠洲市など、あわせて222人の氏名や年齢などを公表し、広く情報の提供を求めています。

さらに、輪島市と珠洲市、能登町では多数の住宅に被害が出ていますが、依然として全体状況は把握できていないとして、各自治体が被害状況の把握を急いでいます。

各地の被害について、随時更新してお伝えしています。

このうち
▼輪島市で55人
▼珠洲市で23人
▼穴水町で6人
▼七尾市で5人
▼能登町で2人
▼志賀町で2人
▼羽咋市で1人
となっています。

輪島市中心部の焼失面積 東京ドームとほぼ同じ面積

震度6強を観測した石川県輪島市中心部で、店舗や住宅など200棟以上が焼けたとみられる大規模な火災について、国土地理院は上空から撮影した写真などを分析した結果、焼失面積はおよそ4万8000平方メートルと推定されると発表しました。

これは東京ドームとほぼ同じ面積で、このエリアにあった建物などは300にのぼるとみられるということです。この火事について、消防関係者によりますと、火元は観光名所として知られる「朝市通り」南側の店舗周辺とみられ、断水で消火栓などが使えずに消火が難航し、火が燃え広がったということです。現場では火はほぼ消し止められ、警察と消防が被害の全容や火が出た原因を調べています。

志賀町 やけどを負った5歳男児が容体急変 5日に亡くなる

石川県志賀町などによりますと、地震でやかんのお湯がかかってやけどを負った5歳の男の子が5日、亡くなったということです。

亡くなったのは5歳の男の子で、1日の地震によって、自宅でやかんのお湯がかかってやけどを負い、搬送先の病院で治療を受けました。

その後、いったん親せきの家に戻りましたが、3日再び病院に訪れた際に容体が急変し、5日になって死亡が確認されたということです。

1日午後の県の災害対策本部会議にオンラインで参加した志賀町の稲岡健太郎町長は「当初、軽傷としていた5歳の子どもの容体が急変し亡くなった」と報告しました。

穴水町で亡くなった82歳の男性は

今回の地震で亡くなった穴水町の小林洋一さん(82)は倒壊した自宅に近い穴水駅前の商店街で衣料品店を営んでいました。

洋一さんの義理の息子の英夫さんによりますと、店は高齢になった洋一さんに代わって最近は英夫さん夫婦が切り盛りしていましたが、今回の地震で倒壊したということです。

店は明治23年創業で、130年以上の歴史があり、地元の人たちに親しまれていて、買い物する予定が無くても顔を出しておしゃべりをしていく地域の人たちも少なくなかったということです。

地元のお店を紹介するパンフレットの中で、洋一さんは英夫さん夫婦が20数年前に金沢市からUターンしてきたことを受けて、「若手家族が金沢から穴水へ帰って来ました。日々仕事、子育てに追われる中、唯一家族がそろっての趣味はスキー。寒い冬をみんな仲よく楽しんでいます」と紹介していました。

小林英夫さんは「突然のことで、今はまだ父の死を受け入れられていません。まずはちゃんと見送ってから今後のことを考えたいです」と話していました。

輪島市鵜入町の女性「さらに奥にも連絡が取れない地域がある」

石川県輪島市鵜入町の実家が被災したという40代の女性は、実家を訪れていた兄家族と妹家族と子どもたち、それに両親のあわせて10人が取り残されたままだといいます。

女性は「2日に妹が電波が通じるところまで歩いて出て、初めて連絡が取れ、親族全員の無事を確認することができた。5日の午前中も兄と連絡が取れたが、道路は法面の崩落で車は通れず、電波が通じる場所に出るには下は『落ちたら海』という危険なところを歩かねばならないとのことだった。

プロパンガスと山水を利用しているものの、電気は通じていない上、食料調達のために危険な道を歩いている状況だ」と話していました。その上で、「安否不明者もいる中、家族が生きているだけでありがたいが、さらに奥にも連絡が取れない地域がある。そういう孤立した場所が、まだあることを知ってもらい支援を広げてほしい」と話していました。

金沢市の隣にある内灘町でも住宅が深刻な被害

内灘町の西荒屋地区では、今回の地震で町内の道路がいたるところで隆起したり陥没したりしていて、住宅も前後や左右に傾くなど深刻な被害が見られました。

地盤が隆起して自宅の車庫が押しつぶされたという男性は「玄関側の地盤が持ち上がって家が後ろに傾いてしまい、家の中にいると目まいがするほどです。これまで能登で地震が起きてもここは被害がなかったので、まさかこんなことになるとは思いもしませんでした。変わり果てた自宅を見ると涙が出るほど悲しいですが、また地震が起きたらと思うとたとえ直るとしてももうここには住めません」と涙ぐみながら話していました。

金沢市の伝統工芸品「大樋焼」の工房では作品が壊れる

「大樋焼」は江戸時代から加賀藩の茶道具として用いられてきた金沢市の伝統工芸品です。今回の地震で金沢市館町にある「大樋焼」の工房では、水指や茶わんなどが落ちたり、床に置いていたオブジェにあたったりして数百点ほどが壊れたということです。

5日はスタッフ7人が破片を集めるなど片付けの作業にあたっていました。工房の代表で陶芸家の十一代、大樋長左衛門さんによりますと、壊れた作品のほとんどが、長左衛門さんの父親で、去年亡くなった文化勲章受章者の大樋陶冶斎さんの作品で、中には県や金沢市に寄贈する予定のものもあったということです。また、工房内にある3つの窯も地震の影響でひびが入り、使えない状態となっていて、修復までには3か月ほどかかるということです。

大樋長左衛門さんは「壊れた作品を見たときは作った父親の気持ちを思って涙が出てきた。ただ、被災して避難している親戚や知り合いの陶芸家がいることを考えると被害は比較にならないので、早く立ち直って彼らを応援していきたい」と話していました。

新潟県の海岸に石川県珠洲市で登録の漁船相次ぎ打ち上げ

上越海上保安署によりますと、4日、上越市や糸魚川市の海岸にあわせて8隻の漁船が打ち上げられているのが確認されました。漁船はいずれも全長10メートルほどで、船体の登録番号から、石川県珠洲市の漁協に登録されている船だと確認されました。

地震による津波で新潟まで流されたとみられるということで、8隻のうち4隻については、移動しないよう保安署の署員がいかりを下ろしたり、近くの岩場にロープでつなぎ止めたりする措置を取りました。新潟県が海上保安署からの連絡を受けて持ち主への連絡を試みているということです。

また、石川県内のけが人は重軽傷者あわせて少なくとも464人にのぼっています。

富山県、新潟県、福井県、岐阜県の4つの県でもけが人が出ています。

【富山県】
富山県では8つの市であわせて37人がけがをしてこのうち3人が重傷だということです。

【新潟県】
新潟県では重傷者5人を含む42人がけがをしたということです。

【福井県】
福井県では少なくとも6人がけがをしたということです。

【岐阜県】
岐阜県では大垣市で1人が軽いけがをしました。

石川 輪島市で55人死亡(5日7時)

石川県の輪島市は今回の地震による市内の死者が5日午前7時の時点で55人になったと発表しました。

石川県内で多数の住宅被害 全体状況は依然把握できず

石川県によりますと、5日午後2時時点で、県内では七尾市などで、少なくとも356棟の住宅被害が確認されたということです。一方、輪島市と珠洲市、能登町では多数の住宅に被害が出ていますが、依然として全体状況は把握できていないとしています。

自治体別では、
▼金沢市で全壊が4棟、
▼七尾市で全壊が225棟、
▼加賀市で全壊が2棟、半壊が1棟、一部破損が8棟、
▼羽咋市で全壊が15棟、
▼川北町では一部破損が1棟、
▼志賀町では全壊が8棟、半壊が15棟、一部破損が16棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、
▼中能登町では全壊が16棟、半壊が5棟、一部破損が12棟、
▼穴水町では全壊または半壊が17棟
となっています。