ミャンマー 独立記念日にあわせ受刑者9600人余に恩赦与える

ミャンマーで実権をにぎる軍は独立記念日にあわせ、民主活動家らを含む受刑者9600人余りに恩赦を与えました。軍に拘束されている民主派指導者、アウン・サン・スー・チー氏は含まれていないとみられます。

ミャンマーで実権をにぎる軍は独立から76年の記念日にあたる4日、受刑者9600人余りに減刑などの恩赦を与えると発表しました。

ヤンゴン市内にあるインセイン刑務所の前には、恩赦の知らせを知った多くの家族が集まり、受刑者が施設の外に出てきていました。

恩赦を受けた受刑者には民主活動家など政治犯が含まれ、このうちフォトジャーナリストの男性は「2年余り刑務所にいたが健康だ。多くの人たちがまだ刑務所にいるので、早く彼らを解放してほしい」と話していました。

ミャンマーでは、去年から少数民族の武装勢力との戦闘が続いていて、軍としては今回の恩赦を通じて、強権的だとの国内外からの批判をかわすねらいがあるとみられます。

一方、軍に拘束されている民主派指導者、アウン・サン・スー・チー氏について、スー・チー氏に近い関係者はNHKの取材に対し「恩赦が与えられたという情報はない」と話し、今回の恩赦には含まれていないとの見方を示しました。

スー・チー氏は、汚職などの罪で有罪判決を受け、一部減刑されたものの、刑期は25年以上残っています。

軍と少数民族の戦闘 国境越え中国側に砲弾着弾か

一方、ミャンマーでは軍と少数民族の武装勢力との間で戦闘が続いているとみられ、中国の一部のメディアは3日、ミャンマーと国境を接する中国雲南省の鎮康県で、国境を越えて砲弾が着弾し、5人がけがをしたと伝えています。

ロイター通信が配信した現地の映像からは、道路沿いで突然土煙が上がる様子や、けがをしたとみられる人が横たわっている様子などがわかります。

今回のケースについて、中国外務省の汪文斌報道官は4日の会見で「強烈な不満を表明する」と述べたうえで、ミャンマー側の関係する勢力に再発の防止を求めました。

中国外務省は先月、中国の仲介でミャンマー軍と少数民族側が一時的に停戦することで合意したと発表しましたが、実際にはその後も戦闘が続いているとみられます。