首相 “新年度予算案 予備費増額に協力を” 与野党 党首会談

今回の能登半島地震を受けて、岸田総理大臣は立憲民主党の泉代表ら与野党の党首と会談し、新年度予算案について予備費を増額し、切れ目なく対応していく方針を伝え、早期成立に協力を求めました。

岸田総理大臣の呼びかけで5日午後、国会内で行われた与野党の党首会談には、立憲民主党の泉代表、日本維新の会の馬場代表、公明党の山口代表、共産党の志位委員長、国民民主党の玉木代表が出席しました。

冒頭、岸田総理大臣は「災害対応に万全を期さなければならないという点については与党、野党の立場に違いはないと信じている。被災された方々の生活となりわいをしっかり支え、復興復旧まで息の長い対応をしていかなければならない」と述べました。

そのうえで、今年度予算の予備費の残額およそ4600億円を活用して、臨機応変に被災地への支援を行うと説明しました。

また、通常国会に提出する新年度予算案については、内容を変更して予備費を増額し、切れ目なく対応していく方針を伝え、早期成立に協力を求めました。

これに対し、立憲民主党の泉代表は「各現場で全力を尽くしているのは間違いないが、予備費の支出は遅くて小規模で、きょうにでも増額すべきだ。自衛隊が逐次、投入されているのも遅いと言わなければならない」と、政府の対応を批判しました。

一方、5日の会談では、党首クラスによる被災地の視察を当面自粛することを申し合わせました。

岸田総理大臣は5日夜、総理大臣官邸で記者団に対し、「今年度予算の予備費の活用と合わせて、令和6年度予算案の予備費の増額を行うため、概算の変更を決定したうえで、予算案を国会に提出したいと説明するとともに、一日も早い成立に向けて理解と協力をお願いした。各党から特段の異論はなかったが、当面の災害対応や被災者・避難所支援でさまざまな要望をいただいたので、今後の対応に生かしていきたい」と述べました。

立憲民主党の泉代表は記者団に対し、「政府だけの情報源に頼らず、各党に聞くのはよい機会だったのではないか。『政府・与野党震災対策協議会』を設置し、今後も開催してほしいと申し入れ、岸田総理大臣から『何らかの形で今後も続けたい』と回答があった」と述べました。

一方で、「激甚災害の指定や予備費の支出の決定のほか、自衛隊が逐次投入になっているのは、残念ながら遅いと申し上げなければいけない。政府が前向きにやれることをすべて迅速にやるという姿勢で取り組んでいるのかが問われている」と述べました。

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、「しばらくは人命救助と救援物資をいかに届けるかについてバックアップすることが肝要だ。岸田総理大臣からは『定期的に党首会談を行いたい』と話があったが、わが党も石川県などの地方組織から意見を聴取し、実りのある情報を政府側に届けたい」と述べました。

一方、馬場氏は、記者団から、今回の地震を受けて来年の大阪・関西万博の開催時期を延期するなどの対応が必要か問われたのに対し、「万博の準備と被災地の復興は同時並行でやるべきだ。万博は北陸の皆さんにも夢や希望を持って明るい将来に歩みを進めてもらえる1つのイベントになる」と述べました。

公明党の山口代表は記者団に対し、党首会談の中でドクターヘリの活用や、避難所に女性のスタッフを配置することなどを提案したと説明しました。

そのうえで、「災害時は被災地に安心感を届けることが重要で、政治的な意見の違いで物事が滑らかに進まないという印象は極力避けるべきだ。今後も必要に応じて党首会談の機会を設けてもらいたい」と述べました。

共産党の志位委員長は記者会見で、「人命救助が最優先だが、避難所に対する支援の抜本的な強化など、二次被害を出さないことを同時並行でやってほしいと伝えた。まだ現場に届いていないことは率直に政府に伝えながら、力を合わせてやっていくことになる。政治が被災者の苦しみに寄り添って、血の通った対応を全力を挙げてやる局面であり、党としても力を尽くしたい」と述べました。

国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「岸田総理大臣には、被災者支援や復興復旧の妨げとなるようなSNS上のフェイクニュースやデマ発信を行わないよう、政府としても強く呼びかけてほしいということなどを求めた。震災対応については、与党も野党もなく、一人でも多くの人を救えるように力を合わせて頑張っていきたい」と述べました。