石川 輪島 倒壊住宅に取り残された高齢女性の救助活動

石川県輪島市門前町では、倒壊した住宅に取り残された高齢の女性の救助活動が行われました。

輪島市門前町の神崎美智子さん(87)が住む住宅は1階部分が押しつぶされるように倒壊しました。

美智子さんは住宅の中に取り残されたとみられ、4日午前7時すぎから消防による救助活動が行われました。

美智子さんと同居し、倒壊した住宅から避難することができた娘の智子さん(66)と、智子さんの夫の浩二さん(70)も自宅の前で不安そうに見守っていました。

智子さんと浩二さんの夫婦は今回の地震で、帰省中だった長女の希美さん(43)と次女の麻衣子さん(40)の2人の娘を亡くしました。

年末年始に家族がそろったのは数十年ぶりで、家族水入らずの時間を過ごしていたとき、激しい揺れに見舞われて自宅が倒壊したということです。

智子さんは壊れた家の中に取り残されましたが大きなけがはなく、手で触れられるほどすぐそばに麻衣子さんの姿が見えたため、大きな声で娘の名前を呼び続けました。

麻衣子さんの上には大きな柱が倒れていました。

麻衣子さんの反応はなく、温かかった手や顔は徐々に冷たくなっていったということです。

智子さんは近所の人に救助され、浩二さんは自力で逃げ出すことができましたが、津波の危険があったため、近所の人から逃げるよう言われ、2人の娘と母親を残したまま避難せざるをえませんでした。

それから数時間がたって自宅に戻り、その後、2人の娘が救出されましたが、すでに亡くなっていたということです。

浩二さんは「娘2人は仲がよく、どちらも明るくていい子です。楽しみにしていた年末年始でおいしいものを食べてほしいと思って準備していたので、おいしいごはんを食べさせてあげたかったです」と話していました。

智子さんは「娘2人は変わり果てた状態で見つかり、かわいそうでなりません。心の整理がつきません」と話していました。

そして4日、母親の美智子さんの救助活動が始まってからおよそ1時間半後、倒壊した住宅から美智子さんとみられる高齢の女性が見つかりました。

消防隊の隊員が「頑張ってよ。あとちょっとだよ」などと、懸命に声をかけながら救助活動にあたり、発見からおよそ2時間たって救助されました。

消防によりますと、意識がない状態だったということです。

智子さんは涙を流しながら、「とにかく早く見つかってほしかったので救出されただけでも本当によかったです。私が助けてあげられなくてごめんねと言いたいです」と話していました。