証券会社代表者ら ことしの経済の見通しや賃上げについて言及

仕事始めの4日、日本証券業協会による新年の行事が開かれ、証券会社の代表者らがことしの日本経済の見通しや、大きな焦点となっている賃上げについて言及しました。

冒頭、日銀の植田総裁があいさつし、能登半島地震で亡くなった人たちに哀悼の意を示したうえで、「金融機能の維持や円滑な資金決済を確保するために万全の措置を講じる」と述べました。

また、ことしの経済について、「去年は長きにわたる低インフレ、低成長の流れに転換点的な動きが見られた一年だった。ことしはこうした動きが一段と加速し、賃金・物価がバランスよく上昇していくことを期待したい」と述べました。

会場では証券会社の代表者たちが報道陣の取材に応じ、哀悼の意を示したあと、ことしの経済や株式市場の見通しについて言及しました。

野村ホールディングスの奥田健太郎社長は賃上げに関連して、新年度、入社3年目までの社員の基本給を平均で16%引き上げるほか、大卒の新入社員の初任給を2万円増やして26万5000円とする方針を明らかにしました。

そのうえで、地震の経済への影響については、「全国のサプライチェーンにどのくらいの影響が出るのかが気になるところだ。また、日銀の金融政策では、今回の地震を受けて、利上げはしっかり様子を見るということになるのではないか」と話していました。

また、大和証券グループ本社の中田誠司社長は「マーケット環境全体、経済全体は非常によい年で、金利も賃金も景気も上昇して、株価も上昇する循環を想定している」と述べた一方、地震の影響については「日本はインバウンド需要が多く『安心安全』というのが1つのキーワードだったが、改めて地震大国であることが世界に認識された。日本航空と海上保安庁の事故もインバウンド需要にどう影響を与えるかが危惧されるところだ」と話していました。

岸田首相「本丸は物価上昇を上回る賃上げの実現」

岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者会見し、「わが国経済は30年余り続いたコストカット型経済から、所得増と成長の好循環による新たな経済へ移行する大きなチャンスを迎えている。本丸は物価上昇を上回る賃上げの実現だ」と述べました。

そのうえで、「ことし6月には所得税・住民税の定額減税を行い、夏の段階で賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくる。同時に、思い切った投資減税や、中小企業の省人化・省エネ投資の支援など、賃上げの原資となる企業の『稼ぐ力』を強化していく。ことしから始まった『新NISA』によって、2000兆円を超える日本の金融資産を『国民所得の伸び』と『稼ぐ力』にフルに役立てていく」と述べました。